5 ページ11
「前世ねぇ……………」
獅子王くんはそういうと、何故か口元が緩み出す。どうかしたのだろうか。
「兄様、覚えてる?じっちゃんが、俺達も神様だったとか言ってたの」
「ええ、覚えておりますよ。我々も三日月と同じく付喪神、だったとか」
「そうなん、ですか?記憶は………」
「俺達は覚えてないよ。だけど、じっちゃんは俺達と同じ奴には会ったけど、前世で会ったのは俺たちじゃない〜とか、よくわかんない事言っててね」
苦笑いして彼は言う。
彼らも付喪神、だったのかもしれないのか。三日月さんも付喪神、そして私はその三日月さんに会っている。
もしかしたら、彼らにも前世にて会っていたのかもしれない。それもまあ、三日月さんの言う事が正しければの話だが。
「本当だぞ、俺はお主ら………というより同じ容姿をしたお主らと会ったのだ」
「俺らのドッペルゲンガーと会ってたって事か?」
「む………それとはちと違うがそんな感じだ」
「意味わかんない、余計に意味わかんないよじっちゃん」
「その呼び名も前世にて、お主に言われていたぞ獅子王」
「すごい、偶然だな!」
獅子王くんは笑い飛ばした。小狐さんは少し眉をひそめて困った顔をしていた。
付喪神。
そういえば、彼等はなんの神様だったのだろう?
「むねもちさんは」
「宗近だ」
「なんの神様だったんですか?」
考えるようなポーズをとる三日月さん。顎に持っていかれた手は、とても綺麗で絹のような手、スラリと伸びたしなやかな指。
この人は頭のてっぺんから足の爪先、全て美しいんじゃないのかと思ってしまった。
「それがなあ。なんの偶然かは知らぬが、ここに祀られたものと縁があるのだ」
「縁………刀、ですか?」
「その通り。俺達は刀の付喪神だったんだ。そして、俺らを統率してくれていたのが、A。お主だ」
「わた、し?」
「ああ」
私がそんな立派なことをしていたのか。
しかも彼らを率いていたと来た。とてつもなく私、目立つ事をしていたの?今の私からは想像がつかないんだけども。
獅子王くんと小狐さんは、物凄く驚きそしてその事に感嘆を漏らす。
「………それあなたの前世が、真実だったらって話ですよね?」
「俺が嘘を言う男に見えるか?」
「……………疑わしいとは思います」
「まあ、出会いが出会いだからな」
三日月さんはそう言って微笑む。「主は変わらんなぁ」と彼が言ったような気がした。
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時