5 ページ16
茜色に染まった街。
私の目に映る世界全てが茜色に染まり、とても綺麗。軽やかな風が吹く中、私は三日月さんと駅へ向かう。
ついてくるなと言ったが、彼は勝手についてきた。
今日はなんだか、心臓が疲れた。無駄に動いた気がする。
彼を若干男として意識してしまった。あまりしたく無かったのに、というより元から、初めてあった日からするだなんて思っていなかった。
なんだかなあ。
「………今日は、ありがとうございました」
「いや、こちらこそ。断られるかと思ったが何だかんだ言って付き合ってくれたからな。ありがとう」
「いや、あなたが無理やり連れてきたんですよね」
「美術館へ入ろうと、入口前で引っ張ってくれたのはお主だろう？」
「それ前の話です」
「ジジイだからな、忘れてしまった」
「ジジイと言えば何でも済むと思ってません？」
「ははは」と笑い、彼は誤魔化した。
くそう。
隣に並んで歩く三日月さん。横顔がとても綺麗で、羨ましい。
通りすがる女の人達は、一度三日月さんへ視線をよこす。隣にアイドルが並んでいるみたい。皆彼へ注目の視線を流していた。
隣に歩く私は、何だか小恥ずかしい気持ちになる。
私なんかが、並んで歩くべきではないような人だよな。
三日月さんを見る。
彼はどこか遠くへと視線を投げていた。この人はやはり美しい。
私の頬は少し熱くなる。この世界の色で、きっと私の頬の色はバレないだろう。
朱に交われば赤くなるって奴だ。
駅前につく。
「ここでいいです」
「そうか」
「それじゃあ、また」
「お、また会ってもいいのか？」
「会うなと言ってもあなたは勝手に来るでしょう？」
「ははは、バレたか」
「バレバレです」
彼は私の頭に手を乗せる。
軽くぽんと叩き、「じゃあな、気をつけて帰れよ」
そう言い残して、背中を見せて歩き出す。
「さようなら」と私は返すと、彼は振り向かずに手だけ振った。
彼の背中が見えなくなるまで私はその方向を見つめる。居なくなると、その場にしゃがみこむ。
顔を手で覆い隠して唸った。
「あ〜………」
何故こんなにときめいた。
耐性のない私が悪いのか。好きでも何とも思ってないと彼に伝えたはずなのに。
心臓が
「…………痛い」
暫くしゃがみこんだ為、電車に乗ったのはそれから30分後の事だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです！更新頑張ります、コメントありがとうございました＊ (2018年6月8日 17時) (
レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー！いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです！これからも頑張ってください〜！ (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名もない茶葉 | 作成日時：2018年5月22日 1時
