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「A、もしかして知り合いか?」
「…いや、知り合いというか……殺されかけた。」
頭によぎるあの時の光景。同時に殺意に満ち溢れた夜巳の瞳を思い出す。
数年経ったというのに未だに鮮明なまま。それが余計に嫌味に思えた。
「殺されかけたって……いつのことなの?」
汗の滲む額を抑えているAに紗子は、様子を伺うようにそう問いかけた。
「7年前……村正と出会う前、だったと思う。」
「……!」
Aがそう言葉を紡いだ瞬間、村正の表情があからさまに変わった。
眉根に皺を寄せ、何か考え込むように顎に手を添える。
「……夜巳って、アイツのことだったのか。」
不意に村正が呟きを吐き出す。村正の指す「アイツ」というのが分からずAは、問う。
「アイツって?」
「…7年前、お前が気絶していた部屋から出てきた奴がいたんだ。意気消沈したような感じだったから、害はないと思って追求はしなかったんだが…。まさか、ここにきたとは…。」
苦々しく言葉を放った村正の瞳には、僅かな罪悪感が浮かんでいる。
それが何に対してなのか、誰も知る由はなかった。
「そ、それ本当なの、お兄ちゃん!」
驚きに身を乗り出す紗子。村正は、否定も肯定もしなかった。
しかし、青ざめた様子の村正を見ればそれが本当か嘘かは一目瞭然だった。
「夜巳は、只者じゃない。策士家なんだ。」
「どういうこと…?」
夜巳のことを思い出すだけで、二重に重ねられた傷口がヒリヒリズキズキと痛むようだ。
「敵を騙すためなら、善い行いをすることを厭わない。それに、夜巳は自分の世界に入れば、周りなんて見えなくなる。殺すまで刃物を振るう手を止めない。」
気をつけろーー。
何故だか、その言葉は口から出る前に消えていった。
(まぁ、ここまで言えば嫌でも警戒するか……。でも、夜巳がここにいるのは正直、ラッキーかもな。)
Aは、内心でそう呟いた。
「狂暴な殺人鬼が入ってきたもんだな、紗子。」
「うん…。いつのまにか増えてたんだもん、ビックリしちゃった。」
紗子の口調にも表情にも不安や恐怖が広がっていた。
それもそのはず。知らず知らずのうちに狂暴な殺人鬼と言葉を交わしていたんだから。
「村正。何故、紗子はここの管理人をしているんだ?」
純粋に思ったことを口にした。
「ん?ああ、こいつこう見えても犯罪者なんだ。アイツらみたいな法を犯した者をまとめるのも同じく法を犯した者の方がいいだろう、って事で紗子が選ばれた。」
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枯羽(プロフ) - ピポポタマスさん» 女主なんですw応援してくださりありがとうございます。 (2018年8月17日 2時) (レス) id: a079f10cee (このIDを非表示/違反報告)
ピポポタマス(プロフ) - 最初見たとき、「あれ…男主かな?┌(┌^o^)┐オイシイ」と思ったんですけど女主なんですねwwそりゃ体力も無いですわねw面白いので是非頑張って下さい(上から目線すいません)!!!応援してます!! (2018年7月11日 3時) (レス) id: 1f7d70f902 (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - はゆーさん» 初めまして!!褒めてくださりありがとうございます!作者は、天才ではないかもですが、褒められれば伸びるタイプですw更新遅くてすみません。コメントありがとうございました! (2018年4月4日 14時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
はゆー(プロフ) - はじめまして!耐え切れず、コメントを入れさせていただきました…!作者様の表現力とストーリーが素晴らしくて、常に感動しております。あの…やはり、天才様でいらっしゃいますよね…?()。お忙しく大変だと思われますが、これからも無理のないよう頑張ってください! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e0dbe52e99 (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 孤縷さん» ありがとうございます!!時には無理しちゃうかもですが、頑張らせていただきます! (2018年3月19日 14時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
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