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湊…。その名前に心が惹かれた。
すぐにでも追いかけて、ひっ捕らえて、なんであの時裏切ったのか、理由を聞きたい。
でも、横っ腹あたりから血を出す狼を放っておくわけにもいかない。
「俺のことは……気にすんな。いいから、湊、捕まえて…怒鳴ってこい…っ。」
無理して笑う狼の姿に、胸が痛いほど締め付けられる感覚がした。
「…ああ、分かった。絶対、迎えに来るから、それまで死ぬなよ。もし死んだら、殴ってでも叩き起こす。」
だんだん視界がボヤけているのを振り払うように、僕は、狼に背を向け、湊を追いかけるために走り出した。
「待ってるからな………A…。」
風に攫われて消えそうなほど、か細い声で、まだまだ少女のままの背中に、そう言った。
届かない言葉を、少女が拾っていたことを知らずに、狼は、急な眠気に身を任せ、瞼を閉じていった。
止まることなく森の中を走る。止まることのない背中を追いかけながら。
だんだん息が切れてきた。だけど、絶対に止まってはいけない。止まってしまったら、もう二度と、湊に会えない気がする。
追いつけない。追いつこうとすればするほど、湊が離れていく。前は、触れられる距離だったのに、今じゃ、どう頑張っても届かない。
「み、なとっ……湊ッ！！」
名前を呼んでも、前のようにこっちを向いてくれない。止まろうともしてくれない。笑いかけてもくれない。
もう、手を伸ばしても届く距離じゃなくなった。
「湊……っ！？」
注意深く走っていなかったせいか、地面がぬかるんでいることに気がつかなかった。
疲労のせいで、足元がぐらつき、僕は転んでしまった。
その拍子か分からない、もしかしたら、仕掛けられていたかもしれない罠である
湊は、僕の方を見ることなく走り去って行った。
再開してから、去るまで、僕の顔なんて一度も見なかった湊。
もう、僕のことは、忘れてしまったのかもしれない。何にせよ、あれから7年経っている。
でも、そんなの言い訳だ。「7年経ってるから忘れられた、仕方ない。」そう言って自分の気持ちを誤魔化しているだけだ。
湊は、何を考えているんだ。
見えなくなった背中を睨みつけ、足に引っかかった蔦を手で千切り、狼の元へ戻るため、来た道の反対方向へ走り出す。
息を切らし、再び狼のいるはずの場所へ戻ったが、そこに狼はいなかった。
血痕も綺麗に砂で覆ったのか、完全に見えなくなっている。
「狼…？」
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枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです！続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました！ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (
レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました！ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます！リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか？恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね！楽しみにしています！ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います！ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
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