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「…そっかぁ。なんか、嬉しいな。」

狼にそんなこと言われるとは思ってなかった僕は、なんだか照れくさくなって、笑って誤魔化した。

「でも、駄目だ。」

「は?」

正直、狼が一緒にいてくれるなら心強い。だけれど、僕たちの目的はきっと違うはず。
湊も狼も居なくなるのは、辛いけれど、解放してあげないとね。

幼馴染離れ、って感じかな。

狼は、明らか不機嫌そうに、僕を見つめ返してきた。

「そろそろ僕は、独り立ちしないとね。」

沈みかける夕日を眺め、そっと呟いてみる。これからの未来を見据えて。

「狼も、したいこと、あるんだろ?僕から解放されて、自由に生きてくれ。」

風が頰に触れる。いつになく優しい風で、どこか怪しげな雰囲気を纏っている感じがする。

怪しい、っていうか、寂しいが正解かな。

「俺は、お前の側に居たい。A、お前と一緒にいろんな世界を見てみたいんだ。なぁ、俺じゃ、頼りないか…?」

伏せた目に、切なげな光りを浮かべて、弱々しい口調でそう言った。

僕は、また、迷ってる。

湊と同じように、狼がなってしまわないか、心配だ。
あの時、湊を解放していれば、湊に苦しい思いはさせなかった。

今になって、後悔する僕は、僕らしくないと思っても、後悔したことはしょうがない。

「頼りなくは、ないけど…。湊のことがあってから、いろいろ心配になって。ごめん、狼のことを信用していないわけじゃない。ただ、どうしても迷ってしまうんだ。」

気持ちを紛らわす為に、座り込み膝に顔を埋める。

「なら、今は、俺についてこないか?」

狼は、優しげに微笑みながら、僕に手を差し出す。夕日を背に受ける狼は、いつになく格好良く見えた。

相変わらず、強引な奴だなぁ。

呆れたように諦めの溜息をつき、僕は、差し出された手を取った。

「忠告しとくが、僕と一緒にいたこと後悔するなよ。」

狼にリードされたことが、少しだけ悔しくて、せめてもの意地だと思い、そう言った。

「ああ、いいぜ。俺が後悔させてやるから。」

相変わらず、ドS野郎は、どこまでもドS野郎だった。

それでも、それが狼だと思うと、なんだか嬉しいような、変わらないなぁ、って思う。


日本の中心都市、東京は、今日をもって終わりを告げた。
火の渦に飲まれた東京は、のちに『火柱街』と呼ばれるようになった。

日本の経済は、ガタ落ちし、政府は慌てて持ち直そうとするも、不安に陥った国民が、終わりだと騒ぐようになってしまった。

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枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです!続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました!ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました!ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます!リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか?恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね!楽しみにしています! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枯羽 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月12日 14時

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