CODE:21 ページ22
「…そっかぁ。なんか、嬉しいな。」
狼にそんなこと言われるとは思ってなかった僕は、なんだか照れくさくなって、笑って誤魔化した。
「でも、駄目だ。」
「は?」
正直、狼が一緒にいてくれるなら心強い。だけれど、僕たちの目的はきっと違うはず。
湊も狼も居なくなるのは、辛いけれど、解放してあげないとね。
幼馴染離れ、って感じかな。
狼は、明らか不機嫌そうに、僕を見つめ返してきた。
「そろそろ僕は、独り立ちしないとね。」
沈みかける夕日を眺め、そっと呟いてみる。これからの未来を見据えて。
「狼も、したいこと、あるんだろ?僕から解放されて、自由に生きてくれ。」
風が頰に触れる。いつになく優しい風で、どこか怪しげな雰囲気を纏っている感じがする。
怪しい、っていうか、寂しいが正解かな。
「俺は、お前の側に居たい。A、お前と一緒にいろんな世界を見てみたいんだ。なぁ、俺じゃ、頼りないか…?」
伏せた目に、切なげな光りを浮かべて、弱々しい口調でそう言った。
僕は、また、迷ってる。
湊と同じように、狼がなってしまわないか、心配だ。
あの時、湊を解放していれば、湊に苦しい思いはさせなかった。
今になって、後悔する僕は、僕らしくないと思っても、後悔したことはしょうがない。
「頼りなくは、ないけど…。湊のことがあってから、いろいろ心配になって。ごめん、狼のことを信用していないわけじゃない。ただ、どうしても迷ってしまうんだ。」
気持ちを紛らわす為に、座り込み膝に顔を埋める。
「なら、今は、俺についてこないか?」
狼は、優しげに微笑みながら、僕に手を差し出す。夕日を背に受ける狼は、いつになく格好良く見えた。
相変わらず、強引な奴だなぁ。
呆れたように諦めの溜息をつき、僕は、差し出された手を取った。
「忠告しとくが、僕と一緒にいたこと後悔するなよ。」
狼にリードされたことが、少しだけ悔しくて、せめてもの意地だと思い、そう言った。
「ああ、いいぜ。俺が後悔させてやるから。」
相変わらず、ドS野郎は、どこまでもドS野郎だった。
それでも、それが狼だと思うと、なんだか嬉しいような、変わらないなぁ、って思う。
日本の中心都市、東京は、今日をもって終わりを告げた。
火の渦に飲まれた東京は、のちに『火柱街』と呼ばれるようになった。
日本の経済は、ガタ落ちし、政府は慌てて持ち直そうとするも、不安に陥った国民が、終わりだと騒ぐようになってしまった。
150人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「女主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです!続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました!ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました!ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます!リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか?恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね!楽しみにしています! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ