検索窓
今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:126,797 hit

CODE:18 ページ19

拾われたなんて言っても、この収容所ができた時の話だ。会長とは、幼い頃からの付き合いではない。

だからこそ、逆らえるなんて選択肢は、もともと僕には存在していない。
雇われの身としても、会長の義理の娘だとしても、逆らえる術は、どこにもない。

「了解……。」

大人しく従うしか、選択肢はない。

辛い現実だと分かっていても、逆らえない自分を酷く恨む。

「それで、湊は今、どこに?」

僕がそう問いかけた瞬間、背後で荒々しく、扉が開く音がした。

息を切らし入ってきたのは、いつも落ち着いた表情をしていた狼だった。今は、珍しく焦っているようだ。

「会長、A!湊が……っ。」

「湊」という単語に僕は、動揺を誘われた。胸騒ぎが治らないのは、きっと、狼の言葉の続きを受け入れられないからだろう。

「脱走しましたッ…!!」

信じたくなかった事実、裏切られた自分の心を虚しく思う。
目の前が真っ暗になるって、こういうことを言うのか、と呑気に思うくらい、今の僕は放心状態だ。

「おいっ、A!すぐに追え!」

狼に肩を掴まれ、我に返る。気持ちの整理も、頭での理解も追いつかないまま、僕は、湊を追いかけるため飛び出した。

インカムから、狼の指示を聞き、隈なく探すが、湊もそこまで馬鹿じゃない。
きっと、うまい隠れ方をしている。簡単に見つからず、僕にも予測不可能な場所。

碧と弥生も、一緒になって、湊を探し回る。

見つかるはずないと分かっていても、心のどこかで、まだ間に合うと期待する僕がいる。

ほんと、どこまで僕は、湊に執着しているんだろう。

笑えるくらいくだらない自分の心に、いい加減、嫌気がさしてくる。

「狼、今、僕が向かっている方向の真反対には、何がある?」

インカムの向こうで、タイピングの音がする。

「…孤児院、だな。」

「了解、ありがと。あとは、任せてくれ。」

そう言うなり僕は、インカムを外し、捨てるとすぐさま踏み潰した。

ここからは、僕ひとりの戦いになってくる。

狼に頼ってばかりじゃ、多分、僕は、湊を捕まえることは無理だ。

懐に忍ばせた拳銃を手に持ち、警戒しながら、孤児院に向かって、歩き出す。

途中の道から完全に人気がなくなり、だんだんと道が入り組んできた。
迷わないように、短刀で印をつけながら、歩いて行く。

しばらく歩いていると、目の前に病院のような施設が目に入った。

突撃を試みた瞬間、街の方から、住人の叫び声やら、悲鳴、爆発音まで聞こえた。

CODE:19→←CODE:17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
150人がお気に入り
設定タグ:女主 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです!続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました!ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました!ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます!リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか?恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね!楽しみにしています! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:枯羽 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月12日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。