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パシンッーー。
大部屋に急いで行った僕は、部屋に入るなり、なぜか待ち伏せていた会長に、頰を叩かれた。
乾いた音が、部屋中に響き、会長に怯えている美男たちは、部屋の隅に寄っていた。
「お前は、恩を仇で返す奴なのか?」
会長は、そう言い、キツく僕を睨みつける。僕は、まるで、蛇に睨まれた蛙のようになってしまった。
「ち、ちがっ…。」
「違う」と言おうとして開いた口は、言葉を途切れさせ、塞がらなかった。
何故なら、会長の右腕に、刃物で深く傷つけられたような跡がある。
誰かが、会長を殺そうとした…?
「この傷は、湊につけられた傷。これが何を意味するか、Aなら、分かるよな?」
鮮血が流れ出る会長の腕。ドクンと心臓が高鳴り、嫌な汗がどっと吹き出る。
先ほど言った会長の言葉が、今でははっきりと理解できる。
「お前が、湊を解放するように頼んだ。そうだろう?もし、あの時、お前が頼まなかったら、わしは開放する気など微塵もなかった。当然、こんな状況にもならなかったわけだ。お前は、責任を持つと言ったな。なら、責任、取ってもらおうか。」
湊が、裏切った。
その事実を押し付けられて、会長の言葉が、頭に流れ込んで来ない。
怒りや悔しさより、失望したっていう方が大きい。信じていたのに…。幼い頃からずっと一緒にいたから、僕には、嘘つかないだろうって、自惚れてたのかもしれない。
信じたくない事実こそ、信じるべきなのだろうけれど、体が頭が、受け付けられない。
どうして、こうなったのだろうか。一体、どこですれ違いを起こしたのだろうか。
「さて、A。君には、ある任務を任せるよ。」
会長の目が怪しく光る。その目に映る僕は、今、どんな顔をしているのだろうか。
会長の声音に吸い込まれるように、聞き入る。これから何を言われるかなんて、いまいち想像がつかない。
次の言葉を待ちながら、ドクンドクンと波打つ心臓を抑えようと、息を飲む。
一息ついた後、会長は徐に口を開き、ゆっくりとそれで持って、威厳のある口調で、僕に命令を下した。
「A、お前には、湊の抹消を命じる。」
抹消……つまり、殺害というわけだ。
そのふた文字に酷く、恐怖を覚えた。今まで体験したことないくらいの恐怖感。
僕が、湊を殺す…?
吐き気を催すぐらいの言葉に、僕は、どうしていいか分からず、恐怖感と不安感が募る一方だった。
それでも、会長の命令に背けないのは事実。
僕は、会長に拾われた子供だ。
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枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです!続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました!ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました!ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます!リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか?恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね!楽しみにしています! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
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