検索窓
今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:126,798 hit

CODE:17 ページ18

パシンッーー。

大部屋に急いで行った僕は、部屋に入るなり、なぜか待ち伏せていた会長に、頰を叩かれた。

乾いた音が、部屋中に響き、会長に怯えている美男たちは、部屋の隅に寄っていた。

「お前は、恩を仇で返す奴なのか?」

会長は、そう言い、キツく僕を睨みつける。僕は、まるで、蛇に睨まれた蛙のようになってしまった。

「ち、ちがっ…。」

「違う」と言おうとして開いた口は、言葉を途切れさせ、塞がらなかった。
何故なら、会長の右腕に、刃物で深く傷つけられたような跡がある。

誰かが、会長を殺そうとした…?

「この傷は、湊につけられた傷。これが何を意味するか、Aなら、分かるよな?」

鮮血が流れ出る会長の腕。ドクンと心臓が高鳴り、嫌な汗がどっと吹き出る。
先ほど言った会長の言葉が、今でははっきりと理解できる。

「お前が、湊を解放するように頼んだ。そうだろう?もし、あの時、お前が頼まなかったら、わしは開放する気など微塵もなかった。当然、こんな状況にもならなかったわけだ。お前は、責任を持つと言ったな。なら、責任、取ってもらおうか。」

湊が、裏切った。
その事実を押し付けられて、会長の言葉が、頭に流れ込んで来ない。

怒りや悔しさより、失望したっていう方が大きい。信じていたのに…。幼い頃からずっと一緒にいたから、僕には、嘘つかないだろうって、自惚れてたのかもしれない。

信じたくない事実こそ、信じるべきなのだろうけれど、体が頭が、受け付けられない。

どうして、こうなったのだろうか。一体、どこですれ違いを起こしたのだろうか。

「さて、A。君には、ある任務を任せるよ。」

会長の目が怪しく光る。その目に映る僕は、今、どんな顔をしているのだろうか。

会長の声音に吸い込まれるように、聞き入る。これから何を言われるかなんて、いまいち想像がつかない。

次の言葉を待ちながら、ドクンドクンと波打つ心臓を抑えようと、息を飲む。

一息ついた後、会長は徐に口を開き、ゆっくりとそれで持って、威厳のある口調で、僕に命令を下した。

「A、お前には、湊の抹消を命じる。」

抹消……つまり、殺害というわけだ。

そのふた文字に酷く、恐怖を覚えた。今まで体験したことないくらいの恐怖感。

僕が、湊を殺す…?

吐き気を催すぐらいの言葉に、僕は、どうしていいか分からず、恐怖感と不安感が募る一方だった。

それでも、会長の命令に背けないのは事実。


僕は、会長に拾われた子供だ。

CODE:18→←CODE:16



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
150人がお気に入り
設定タグ:女主 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです!続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました!ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました!ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます!リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか?恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね!楽しみにしています! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います! (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:枯羽 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月12日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。