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喉元に、隠し持っていたナイフを当てる。金属独特の冷たさが、喉に触れているのか、茂也は、力を込めていた腕の力を緩める。
それに油断したのが間違いだった。
抵抗を諦めたと取った僕は、ナイフをしまおうと手を引いた時だった。
引こうとした手を掴まれ、茂也の方に引っ張られ、一気に視界が反転した。
一瞬のことで、何が起こったか、分からなかった。
「…俺は、捕まるわけにはいかない。」
ここに来て初めて、茂也が口を開いた。次の瞬間、茂也の指先が、僕の首元に伸びて来た。
茂也は、苦しげな笑みを浮かべた。
ああ、こいつら、狂ってやがる……。
歪んだ茂也の表情に僕は、そう瞬時に察した。
「Aっ！？」
碧の声が聞こえる。
茂也の手が、僕の首を掴んだのがわかった。
僕の人生も終わったかな。そう思うと同時に、首がギリギリと締められていく。
どんどん、酸素を取り入れるのが難しくなる。
ついには、声も出すことさえ、困難だ。
視界がボヤける。酸素が足りない。死ぬーー。
「茂也さんッ！！」
意識を飛ばす前に聞こえた、結城の声。その瞬間、茂也の手の力が緩まり、僕の口に空気が大量に流れ込み、むせ返るような咳をした。
そんな僕の隣に、茂也が気絶しながら倒れ込んだ。
何が、起きたんだ……。
「全く、お前って奴は…世話のかかる奴だな。」
「狼……。」
名前を呼ぶなり僕は、安心しきって意識を飛ばした。
そのあと何が起きたかなんて、当然僕は、何も分からない。
けれど、僕が目を覚ましたところが、拷問部屋だってことは、意識が覚醒してから認識したことだ。
事が終わり、「はい、よかったね。」というわけにはいかない。
僕には、監視役としての『責任』というものを取らないといけない。
これは、監視役を担ってから同時に担った僕のもう一つの役割でもある。
その責任を果たすためには、『拷問』を受けなければならない。
僕を拷問するのは、会長ではなく、狼でもない。
ーー湊、なんだ。
ガチャリと拷問部屋のドアが開き、湊が姿を見せる。
その目は虚ろだ。
「ごめんな、湊。」
せっせと拷問の準備に取り掛かる湊に、独り言のように話しかける。
「こんな、血を見るような仕事、お前にはして欲しくなかった。まぁ、お前がここにいるのも僕のせいなんだろうけど…。だから、今は、思う存分、ストレスを発散させろ。もちろん、僕で。」
無表情を崩さない湊。
そんな顔に、寂しさを覚えるのは、今に始まった事じゃ、ない。
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枯羽(プロフ) - ゆきさん» 良かったです！続編に行ったのでぜひ読んで見てください。リクエスト下さってありがとうございました！ゆきさんのおかげで、楽しく番外編を書くことができました。 (2018年3月19日 0時) (
レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 楽しめました！ありがとうございます笑更新楽しみに待ってます！リクエストに答えていただいて本当にありがとう (2018年3月18日 22時) (レス) id: 2de872441c (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - ゆきさん» ど、どうだったでしょうか？恋愛系は、難しかったです…。うまく書けていないかもですが、楽しんでいただけたら、何よりです。 (2018年3月18日 22時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
一応歌い手の、みにまーむ(プロフ) - 枯羽さん» そうなんですね！楽しみにしています！ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 69f1870dfa (このIDを非表示/違反報告)
枯羽(プロフ) - 一応歌い手の、みにまーむさん» その謎は、続編にて解き明かそうと思います！ (2018年3月17日 16時) (レス) id: 4774db47d0 (このIDを非表示/違反報告)
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