9.幼少期に ページ9
A｢あんな決め台詞言うてもうたけどさぁー！｣
自席に戻ったAは椅子にもたれ項垂れていた。
忠義｢まずは『落とし物』が何なのかが分かるようにせんとなー。｣
A｢なあなあ、横山くん。
いつ頃落としたー、
とか、いつ買った貰ったー、
みたいな事覚えてへんの？｣
Aの質問に難しい表情で何かを考えていた裕だったが、
何かを思い出したのかAの方を向き発言した。
裕｢いつ落とした、とかどんなものやったかは思い出せへんかったけど、
いつ貰った、なら分かったかもしれへん。｣
裕の言葉にAと忠義は目を輝かせてメモとペンを取り出した。
裕｢昔、海行ったんよ。
ちっちゃい頃に。
一人で海辺歩いてたら俺より年下そうな男の子が来て、
『おにーさんにこれあげる！』
って、綺麗なもんを……。｣
裕の口の動きが止まり、二人のメモを書く手も止まった。
A/忠義｢……え、終わり？｣
裕｢……うん。
綺麗なもん、何やったけなぁ。｣
A｢何なん！
横山くんがちっちゃい頃にちっちゃい男の子に何か貰ったって事しか分からへん！
どんなもんやったん！｣
裕｢ずっと大切にしたくなる位綺麗なもん、
やった筈やのになあ……。｣
結局、何だったかは分からずに一日は過ぎていったのであった。
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作者名：leaf。 | 作成日時：2016年8月11日 20時
