6.眼鏡 ページ6
足が有れば幽霊ではない。
と言うAの理論は裕の一言であっさりと崩され、
頭を抱えパニック状態であったAに対し、
忠義は楽観的だった。
忠義｢Aって霊感有ったんやー！｣
などと笑いながら、
応接スペース付近に設置された冷蔵庫にケーキの箱をしまうと、
何かを思い出した様に奥の部屋へと去っていった。
A｢えっと、横山さんはホンマに幽霊なんですよね？
何でそんなに実体がしっかりしてるんですか？
普通幽霊言うたら、もうちょっと半透明だったり……。｣
未だ裕が幽霊だと信用出来ていないAは、
裕をつま先から頭までしっかりと観察してから言葉を紡いだ。
裕｢いや、僕にもよう分からないんですけど。
何かこの建物に入った瞬間、
急に楽になったというか、
何というか……？｣
Aの謎は裕にも理解出来ておらず、
謎は深まるばかりであった。
忠義｢うわっ！
ホンマや、人居る！｣
いつの間にか奥の部屋から戻って来た忠義は、
やけに大きな黒縁の丸眼鏡を掛けて、
裕を指さした。
Aは眼鏡がダサいと罵倒しようとしたが、
その眼鏡は矯正な顔立ちをした忠義が掛けると様になっており、
これもファッションの一環なのかとAは悟った。
A｢てか、え？
忠義、横山さんの事見えるん？｣
忠義｢おん。
何か昔、『幽霊見れたら良いなあ』って思て、
念じながら眼鏡作ったら見える様になる眼鏡出来てもうて、
怖なったから棚の奥にしまったの忘れとった。｣
あっはっは、
と爆笑する忠義にコイツは本物の阿呆や、
と小さな声でAは呆れた。
と同時にそんな物を作ってしまう忠義の才能に驚いた。
(こんな事なら、
飼い犬レーダーとか作れるんちゃうか。)
(この眼鏡をまた使う日が来るなんてなー。)
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作者名：leaf。 | 作成日時：2016年8月11日 20時
