貴方を成仏させましょう。【男主】 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:14,208 hit

3.豪雨ページ3

Aは相も変わらず机に突っ伏していた。

依頼者が訪ねて来るのを待っている間、

机に突っ伏して待つのが彼のスタイルである。

忠義は出掛けており、

Aしか居ないこの部屋は外の最悪の天気である豪雨の雨音が響くばかりである。

(忠義も帰って来ねえし、

依頼者も来ないし暇だなぁ……。

まあ、こんな天気じゃ誰も来ないよな。)

依頼者も忠義も来ず、

暇を潰す手段が無くなったAは睡魔に襲われ、

うつらうつらとしている時であった。

何処かに落雷が落ちたのだ。

Aは雷の驚き上半身を飛び起こした。

そのまま目の前にある来客専用ドアに視線を移すと、

ドアの窓には人影が見えた。

(こんな豪雨の中、依頼者が？)

見間違いかと思いAは目を擦り、

もう一度ドアを見るとそこは目の前にある閑散とした路地が見えるのみだった。

(……俺、疲れてんのか？)

忠義が帰って来るまで仮眠でもとろうと机に伏せようとしたその時だった。

本日二度目の雷が落ち、

その光によって来客ドアに人のシルエットが現れたのは。

Aは驚く訳でも無く、

そのシルエットを凝視していた。

ドアが開き始め、

カラン、と来客を知らせるベルが鳴ると、

A｢いらっしゃいませ。

貴方の悩みは何ですか？｣

Aは手馴れた様子で、

来客である黒髪で色白で、

この雨で傘を手にしていないにも関わらず、

どこも濡れていない青年に微笑んだ。