＿＿. ページ35
『あのさ、』
いつもみたいに不安そうな表情で俺を見つめるわけでもなく、
ただ真剣に前を見据えている彼女。
『忠義くんは、私の事好きじゃないでしょ？
きっと、私以外の誰かが貴方の心の中心に居る。』
ああ、成程。
だから彼女はそんな瞳でここに来たんだ。
『だからさ、忠義くん。』
俺が未熟だったばっかりに。
『私と別れよ？』
中途半端だったばっかりに。
『こんな私じゃ駄目だから、
早く忠義くんを解放してあげなきゃ。』
彼女を傷付けてしまっていた。
『本当はね、忠義くんの甘い言葉もね、
すっごく嬉しくて、満足しそうになったの。』
ずっとずっと、
『でも、そこで喜んだら忠義くんの慣れてるオンナノコになっちゃうからさ、』
彼女の事を、
『だから、ずっと態度には出さない様にしてたけど、』
彼女の気持ちを縛ってきたのは俺の方だったのか。
『でも、やっぱり私なんかじゃ駄目だよね。
…今までありがとうございます。
忠義くんとの日々は私の大切な宝物。
じゃあね。』
｢なぁ、
ごめんな。｣
『っそこで、謝るのは反則だよ。
彼とお幸せにね。』
ああ、彼女は相手まで分かっているんだ。
ドアの向こう側に消えた彼女に向かって呟いた。
｢適わんのは、俺の方やわ……。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：leaf。 | 作成日時：2017年2月19日 20時
