自由（青） (ページ40)

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『Aちゃん、よお笑うようになったね、』

「え、そう？」

優しい顔をしてそんなこと言うからすこし

驚いた。

笑うようになった？

『もともと笑ってなかったわけやないけどさ、なんか自然な笑顔な気ぃする』

自覚はなかったけど、

章ちゃんがあまりにも真面目な声でそう言うから

きっとそうなのかな？

「わからないけど、でも章ちゃんといるのは楽しい」

『ふは、そう？それは良かった』

うん、今言ったことは嘘なんかじゃない

章ちゃんといるのは今までで本当に1番楽しい。

「ねぇ、」

『ん？』

「うた、」

『うた？』

「章ちゃんの歌が聞きたいな、」

最近、聞いてたっけ？

ずっと聞いてなかった気がする、

あたしの大好きな、章ちゃんの声、

優しい、温かい、

あたしの毎週の楽しみだった、章ちゃんの歌。

『ええよ、』

章ちゃんは短くそう返すと

あたしの側にそっと寄り添って

あたしにだけ聞こえるような

小さな声で歌い出した。

それは、あたしがいちばん好きな曲だった。

「いいうた、」

あたしはそっと章ちゃんの肩に頭を乗せて

目を閉じた。

『わがままだけどはよ会いたい＿＿＿』

最後のそのフレーズを聞いて、

あたしは一粒涙を流した。