ライター。(赤) (ページ5)

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“なにしてんだよっ！やめろ！”

「やだ、もう限界なの！別れたいの！

…別れてくれないと、本当に死ぬよ？」

そう言い、包丁の刃をお腹に向けた。

「あなたのことは、本当に愛していると思ってた。…でも違う、わたし達の愛は間違っている、歪んでいる、そろそろ気づいてよっ…」

必死に訴えるわたしを見て悠斗は納得したのかしてないのか

その場にドサッと座り込んで

“ごめん、…”

と呟いた。

「もう、あなたとはさよならする。
もう二度と会わない。

…だからわたしなんか忘れて、また素敵な人を見つけて。
そして、もう二度とこんなことしちゃだめだよ。」

そう言ってわたしもその場に座り込み

視線を下に落とした。

包丁に映ったわたしの表情は

どこか寂しげで、でもどこか吹っ切れたようにも見えた。

これでよかったんだよね、きっと。

次の日、わたしは同棲していたアパートを出て行った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

それから1年経った今まで彼と会う事はなくて、ずっと平凡な毎日を送っていた。