ライター。(赤) (ページ17)

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『一応渡しとく、運命やったらこのままさよならするのはもったいないやん？』

「え、？」

全く理解ができない。

一般人のわたしにどうして連絡先を教えようと思うの？

確かに今日偶然にも3回会ってて、確かにそんなに会ってたら何かの縁だって思っちゃう錯覚に陥ることも分からなくはないんだけどさ、

でも、身元も知らない一般人だよ？わたし。

警戒するのが普通じゃないの？

いろんな思いが頭をぐるぐると駆け巡ってるうちに次の言葉が発せられる。

『とりあえず、登録しといてな。君のも教えてや。』

「え、いや、あの」

『はよ、』

早く番号を言うように急かされ勢いで言ってしまった。

『登録しといた、あとで連絡するわ。』

スタスタと何事も無かったかのように喫煙ルームを出ていってしまった。

頭が混乱してるんだけど、さ。

とりあえず、殴り書きで電話番号が書かれているこのどこの切れ端かも分からない紙だけが

これは現実なんだよ、と教えてくれてるような気がした。