貴方の左手の薬指（赤） (ページ10)

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それからわたしたちの関係は始まった。

でも最初の頃はやっぱりすばるは華さんの話ばっかりで

わたしのことなんて眼中に無いって感じだった。

少し悲しかったのは事実なんだけど

それでも着実にわたしたちの距離は近づいてきてるっていうのは

実感してたからそこまで辛くはなかった。

「すばる、」

『ん、？』

「好きだよ、」

『...俺も、すきやで』

次第にすばるも好きの言葉を伝えてくれるようになって

それがもしわたしを気遣った

華さんのことを忘れるための

偽りの言葉だとしても

それはそれで嬉しかった。

「華さんのこと、考えちゃう？」

『ん、まぁ、』

「そっか、」

すばるが少し切ない顔をしたから

わたしは安心させてあげられるように

すばるの胸に顔を埋めて抱きついた。

『苦しいて、』

すばるは

どいてや

なんて笑うけど

わたしはそんなすばるの苦しそうな笑顔を見るのが苦しかったから

すばるの言葉を無視して

顔を胸に埋めたままにした。

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