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その日の夜、わたしはすばるに電話をした。
「すばる、...」
『Aっ、...』
「上司から聞いた、気の毒だったね、」
『もう、何が起きてるか、分からへん...』
「そう、だよね、」
すばるの声は、
昨日の声とは比べ物にならないくらい
小さくて、苦しいものだった。
「子供、は?子供はどうだったの、」
こんなこと、今のすばるに聞いていいことなんかじゃないってわかってたけど
聞かずにはいられなかった。
『子供も、死んだで、』
「...そ、か、」
『どっちも、失った、もう俺には何も無い』
儚く、そう
呟いたすばる。
「そんなこと、言わないでよ、」
そんなに、泣かないでよ、
お願い、わたしはすばるの笑顔がすきなんだよ、
「わたしがっ、わたしがいるじゃん、」
『え?』
「華さんの、代わりにはなれないかもしれない、でも!辛いなら、泣きたいなら、わたしがいつだって隣にいてあげるよ、」
『...ふ、ありがとぉ』
すばるは少しだけ笑った。
『Aらしい、まっすぐな言葉に少し救われた。』
そう笑って、言ってくれた。
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作者名:ふぅりん | 作成日時:2018年9月29日 19時