貴方の左手の薬指（赤） (ページ23)

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『華のことは、これからもずっと想い続ける。でも、華自身を想うわけやない。華との思い出を想うだけ。愛すだけ。
やから、今は、お前のことをちゃんと愛してる。』

「うん、」

『これまで、ずっと、Aに辛い思いさせてごめんな、これからは辛かったらすぐ言ってええから。でもその代わり、俺が華のことを想うのは許して欲しい。』

「うん、わかった、」

大丈夫。

すばるが愛してるってそう言ってくれるだけで、わたしはもう大丈夫。

わたしが少し子供すぎただけ。

今冷静になって考えれば、意外と大丈夫なもんだ。

『...それと、今日歌った歌のことやけど、』

「うん？」

『あれは、ふたりに向けた曲。大事な人、華
とお前、どっちにも向けた曲。だから、安心してな、』

「ほんとに？嬉しい、ありがとう」

『俺も、Aが聞いてくれて嬉しかった、』

すばるはわたしにキスをしてくれた。

そのキスは今までしきたキスのどれよりも

愛が詰まったキスだと思った。

やっと、ちゃんとすばると向き合えた気がして

やっと、わたしもすばるも華さんのことにちゃんと向き合えた気がして

すごくスッキリした。

『じゃ、風呂はいって寝よか』

「うん、そうだね」

わたしたちの愛はこのとき完全に深まった。