貴方の左手の薬指（赤） (ページ21)

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それでもわたしは止まらなかった。

止められなかった。

「すばるの、その左手の薬指を触る仕草も、大っ嫌いだった、！」

『...』

「憎くて憎くて仕方がない、どうして、なんで、なんでわたしを見てくれないの、どうして、もういない人のことを想うの！」

『...』

「こんなの、わがままだって、分かってる、けど！わたしだって、華さんに負けないくらいすばるが好き、だから悔しいの、ほんとは毎日毎日泣きたかった、！」

もう、涙も止まらなかった、

「今は、わたしを愛してるって言ったじゃない、嘘だったの？結局は華さん？
そうだよね、そうに決まってるよね。
わたしは結局2番目にしかなれない。」

泣き叫んで崩れるわたしをみて、

すばるは何も言わなかった。

ただただ悲しい顔をしてわたしを見つめるだけ。

そっか、結局わたしが本音を言ってしまえば

すばるはわたしへの好意なんかこれっぽちもなくなってしまう。

そうだよね、

奥さんを亡くした可哀想な自分を支えてくれる

都合のいい女じゃなくなっちゃうもんね。

わたしももう、言うことがなくなって

ふたりの間に沈黙の時間が流れた。

こんだけ騒いでしまったらもう

今更謝るのも躊躇ってしまう。

すばるは、怒ってるかな、

こんな泣き叫んだわたしを見て呆れた？

もう、終わってしまうかもしれない、わたし達の関係は。

なんて思っていたのに、

『ごめんな、』

すばるは優しかった。