貴方の左手の薬指（赤） (ページ2)

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彼には、忘れられない

重すぎる過去がある。

2年前、

すばるは結婚していた。

毎日毎日幸せそうだった。

ちなみにわたし達の関係はただの仕事の同僚。

仲が良かったからよく惚気話を聞かされてた。

『明日はな、華と遊園地行くねん、』

『今日はな結婚して1年の記念日でな、』

『みて、華の寝顔、可愛いやろ？』

奥さんの名前は華さん。

いつだって、華さんの話をする時のすばるは楽しそうで

きっと、お互いが愛し合ってるんだろうなって

話を聞いててよく伝わってた。

「「かんぱーい」」

『んー、んっま！』

「うん、おいしいね、」

すばるとはよく飲みに行ってた。

「あ、今違うこと考えてるんでしょ、」

『なにが？』

すばるはいつもわたしが話してる時も構わず自分の左手の薬指を触ってた。

｢すばるが自分の左手の薬指を触ってる時は
いつだって、華さんに会いたい時なんだよ、」

すばるにそう伝えると、

恥ずかしそうに笑った。

「すばる、わかりやすいね」

『そんな触ってるか？』

「うん、常に触ってる、」

『常に会いたいねんな～』

すばるはそう言って、また左手の薬指を触ってた。