天の色 (ページ5)

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よんページ5

｢引けねぇんだよ！！！！
引けねぇ理由があるんだよ！！！｣

そう強く言う彼の瞳には信念が宿っていた。

｢東京卍會キヨマサ。
勝つには俺を殺すしかねぇぞ。

絶っっ対ぇに負けねぇ｣

顔は傷やアザばかりで、瞳には涙を浮かべる。

そんなボロボロな姿でも笑ってみせる彼。

ボロボロな体なのにその背中はここにいる誰よりも大きく見えて

思わず息を飲む。

とても中学生とは思えない度胸と信念。

｢バット持ってこい！！｣

野次馬にそう命令する男。

え、きも。

あまりの卑怯さにあたしも観客もドン引き。

｢危ないから俺の後ろにいて｣

万次郎と堅ちゃんは野次馬の方へと向かっていく。

ていうか万次郎また新しいどら焼き食べてる。

何個食べてんの。

｢おいキヨマサ｣

堅ちゃんの声に反応する男。

｢あ？｣

キヨマサっていうのかこいつ。

｢客が引いてんぞー。
ムキになっなってんじゃねーよ、主催がよー｣

私たちが来たことにより動揺するキヨマサ。

野次馬もさっきよりもザワザワとし始めた。

｢金の辮髪。
こめかみに龍の刺青…。

東京卍會副総長！！
龍宮寺堅。

通称 "ドラケン"！｣

｢ねえねえ？ケンチン？｣

｢あ！？
そのアダ名で呼ぶんじゃねーよ、マイキー｣

ケンチン。

マイキーだけが呼ぶことを許されているアダ名。

可愛らしいアダ名だから堅ちゃんは
みんなの前でこのアダ名を呼ぶのは嫌がる。

｢どら焼きなくなっちゃった｣

緊迫した空気の中、空気を読めていない人物がひとり。

空気を読めていないと誰かに指摘されているが、きっとその子は万次郎のことをよく知らない子だろう。

万次郎を知ってる子なら言えないはず。

だって、

｢総長！
お疲れ様です！｣

そう。万次郎は東京卍會の総長なのだから。

次々と頭を深く下げ｢お疲れ様です！｣と口々に言う。

そんな中でも万次郎は堂々としていて、口の横についているどら焼きの屑を舌で舐める。

｢"無敵のマイキー"。
東卍のボスだ！！｣

｢じゃあその後ろの女の子はマイキーくんの彼女の天音さきか｣

こそこそ見ながら話しているメガネくんとオールバックくん。

横目で見てみると、視線が交わる。

見たことない顔。

静かにと口パクで伝え
人差し指を口に当てる。