いち ページ2
｢おきなさい！｣
寝ている少年の布団をガバッと勢いよく剥ぎ取る。
｢なに…｣
そう言って不機嫌そうに布団を奪い返そうとする目の前の男。
佐野万次郎。
彼は東京卍會の総長。
そして、あたしの彼氏である。
学校前に朝が弱い彼を起こしくるのが気づけば毎日の日課になっていた。
｢学校！遅刻！する！よ！！｣
万次郎は布団を取られないように必死に布団を引っ張る。
｢ん〜、学校サボる…｣
更に布団を引っ張る力を強める万次郎。
｢だめ！｣
あたしも負けじと引っ張る力を強める。
｢もぉ、さきうるさい…｣
そしてまた寝ようとする万次郎。
そんな彼を見て、自分の中の何かがブチッと切れる。
｢……いい加減おきんかぁ！！｣
怒鳴って全力で布団を剥ぎ取る。
あたしの怒鳴り声に驚いたのか
さっきまで閉じていた目を見開き
身体をビクッと震えさせる。
そうこうしている内に部屋に入ってくる大柄な男。
｢…朝から派手にやってんなぁ｣
面倒くさそうにそう呟く金の辮髪の男。
竜宮寺堅。
東京卍會の副総長。
堅ちゃんが来たことによりあたしのストレスが少し軽減する。
｢あ、堅ちゃん。おはよ｣
布団を強く握りしめながら挨拶するあたし。
｢はよ｣
さっきまで寝てたのが嘘かの様に目がぱっちり開いていて堅ちゃんに挨拶する万次郎。
｢おー｣
それだけ返事する堅ちゃん。
あ、と思い出した様に堅ちゃんに話しかける万次郎。
｢そういえば、喧嘩賭博について調べてくれた？｣
そういえば最近東卍の名前使って喧嘩賭博してるやつがいるって言ってたな。
そんなくだらないことするために万次郎達の大切な東卍の名前を使わないでほしい。
｢ああ。そんで今日の放課後もあるんだとよ｣
そう言ってどーする？と万次郎に問いかける堅ちゃん。
｢もちろん行くよ｣
万次郎はそう言うとあたしをジッと見つめ出す。
｢当然さきも来るよね？｣
そう笑顔で聞いてくる万次郎。
有無を言わせないその笑みにため息をつく。
｢はいはい。行きますよ｣
そう言うと満足そうに微笑む彼。
実はその表情が結構好きだったりする。
｢じゃあ今日の放課後空けといてね2人とも♡｣
｢はいはい｣
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作者名：サキ x他1人 | 作成日時：2021年6月10日 1時
