大嫌いでした ［宮侑］

# お誘い ページ50

「お疲れ様です。お世話になりました」

頭を下げて作業を続けた。

「こちらこそ」

「あ、タオルは洗い終わりました。

勝手に触ってすみません」

「え、まじ？超助かる」

そう言ってそのまま居続ける主将さん。

着替えが早く、制汗剤のいい香りがした。

「…戻らないんですか」

「戻ったら双子くん達居んじゃん？」

「あぁ、うるさいですもんね」

「言うねえ…(笑)

おじょーサン、名前は？」

「天音A、２年です。」

「まじ？後輩かよ」

そんなに驚かなくても…

「周りが精神年齢低いだけです」

「見かけによらず口悪いデスネ」

「どーも。黒尾さん…？はブロック、

レシーブがお上手ですね」

攻めに入るように見せかけて守りだとか、

双子を挑発したり。

策略家、という言葉がぴったりだと思う。

「嬉しい事言ってくれんね」

今の彼は試合の顔とは違って新鮮だ。

「…試合終わってさ、研磨が

俺に言ってきたんだよな」

水道の縁に腰掛けて、私をみる黒尾さん。

研磨って、セッターの…。

「何をです？」

「…… ３セット目前半から、

"読まれてる" って。」

「…私は何もしてません。」

「俺にも天音ちゃんが読んだように

見えたけど」

私が何に見えているのさ。

稲荷崎のタオルも洗い終え、

ジャグに手を伸ばす。

しかし、止めていた水を出すと、

あろうことか角に反射し、無数の水滴が

飛んできた。

「え、は、！？」

「うーわ！…大丈夫か？」

パニック状態に陥っていた私と対に

蛇口を閉めてくれた黒尾さん。

おかげで制服こそ無事だが、髪の毛は

水滴が落ちる。

「……大丈夫です」

「いや絶対大丈夫じゃねぇだろ…」

苦笑して自身のバックからタオルを出し、

差し出してくれた。

「とりあえず髪拭きな…？」

「いやでも…」

「使ってねぇから」

そういう問題ではなく…！

「申し訳ないですし」

「後輩が遠慮すんなー」

タオルで私の髪をわしゃわしゃと

拭いて下さる。

この面倒見がいい感じは

「…お兄ちゃんですか？」

いつかと同じ言葉を発してしまった。

黒尾さんはニヤッと笑う。

「妹なら音駒のマネ来てくれんの？」

まさかのお誘いに小さく笑うと

「はぁ！？おまっ、何してんねん！！」

…煩いのが来た。










──────

／／ 皆様ここまでありがとうございました！

私もまさかこんなに続くとは思って

おりませんでした … 。

移行いたします、是非またそちらで

お会い致しましょう！！(翠恋依)

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