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# 双子速攻 ページ49

「右、後…」

わずかな動作から予測する。

「稲荷崎?だっけ。

さっきより拾ってない?」

観客席から聞こえた声。

先程とは比べ物にならないくらい、

守りでやり合っている。

きっと、私の声は聞こえていない。

でも…主将に言われたから言葉を発し続けた。

互いに譲らない。

セット獲得数は同じ 。これで決まるんだ。

稲荷崎のプレーらしく。

失わないよう、奪われないよう。

「左、前、」

予測に自分の気持ちを込めて。

自分はプレーしていないのに、何故か

中学時代よりも緊張して、わくわくした。

あと1点…!!

「神様…!」

思わず手を合わせた瞬間、宮と治が

一斉に動いた。

此奴ら何して…

音駒からボールが飛んでくる。

尾白さんのアタックが効いたのか、

ボールの速さはほんの少しだけ緩まっていた。

会場が一瞬静まり返る。

「…頑張れ」

何をする気か分からないけれど

応援の言葉が零れた。

そして、10秒も経たないうちに、

ボールは落ちた。音駒の、コートに。

「今の、何…?」

目を疑った。

宮が上げたボールを、治は同じタイミングで

飛び、相手に打ち込んだ。

試合終了の合図で慌てて足を動かす。

「ありがとうございました…!」

頭を下げ、とりあえずマネ業を行う。

監督達の話を半、上の空で聞き、

着替えに向かう皆の中、北さんに声をかける。

「北さん、おめでとうございます」

「ありがとさん。

Aのおかげでもあるわ」

私何もしてないですよ…

「あの、少しいいですか」

「…双子か」

その問いに私は頷く。

あんなの見たことない。

「あれは、なんですか」

「通称、双子速攻や。

宮と治のコンビネーションプレー。

互いのタイミングが少しでもズレたら

成功せーへん。」

双子…速攻。

「…ありがとうございました。

諸々洗ってきますね」

「すまんな、宜しゅう。すぐ手伝い行くな」

「いえ、休んでて下さい。

北さんもお疲れ様でしたから」

「…ほうか」

「はい!」

そうして北さんと別れ、

ジャグとタオルを洗いに向かう。

水道には、既にタオル籠が置かれていた。

…音駒の、かな?

勝手に触っていいものかと悩んだが、

お世話になったし、選手達もお疲れだろう。

怒られたらその時だと、私は音駒のタオルも

洗うことにした。

しばらく作業していると、

「こんにちは、お嬢サン」

聞きなれない声が聞こえた。

顔を上げると

「あ、音駒の…」

音駒の主将、黒尾鉄朗 先輩が立っていた。

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翠恋依(プロフ) - 紗雪さん» 初めまして、こんにちは!そう言って頂き、嬉しさでいっぱいです。いい曲ですもんね、(笑)今後とも宜しく御願い致します!! (2月25日 17時) (レス) id: 3e15d03f64 (このIDを非表示/違反報告)
紗雪 - こんにちは!もう侑がカッコ良すぎてヤバイです!!そしてユイカさんの『好きだから』って曲私も大好きです!! (2月24日 22時) (レス) @page42 id: 2d0dd09cc8 (このIDを非表示/違反報告)
翠恋依(プロフ) - 稲荷寿司さん» 再びコメントありがとう御座います!北さんの性格上、しっかりしてる子にはそれ相応の対応かなと書いていたらイケメンになりました、元の性格が良すぎて(( 内容最近少し不安だったのでそう言って頂けて安心致しました…!こちらこそ、御愛読感謝で御座います!! (2月24日 21時) (レス) @page41 id: 3e15d03f64 (このIDを非表示/違反報告)
稲荷寿司 - うおぉぉぉ!!北さんが!!イケメンすぎます!!お話のテンポも良くて読みやすくもう何周もしてます!この作品産んでくださりまじでありがとうございます…(拝) (2月24日 19時) (レス) @page40 id: 4a29f8a2b6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 翠恋依さん» やっぱり天才です!! (2月24日 16時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翠恋依 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/d21db535ba2/  
作成日時:2024年2月16日 0時

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