大嫌いでした ［宮侑］

# ドライヤー探求記 ページ40

髪諸共を洗い終え、

広いお風呂にちゃぽんと浸かり、

目をつぶる。

大変だったけど、プレーを１番近くで

見れるっていいなぁ。

新しい発見もあったし 。

ノート見られたのは痛いけど。

…別に見られて嫌なわけではないけど、

なんか恥ずかしいんだよね。

稲荷崎のプレーに惚れてるって事を

悟られたくない…っていうか。

そんなことを考えながら、

明日も早いし、のぼせる前に上がろうと

思い立った。

私はパジャマよりTシャツ、ズボンを

使う派で、今回の合宿でも

シンプルなものを使用する。

そのままドライヤーの場所を探すが

見当たらない。

合宿長の話だと、置いてあるって言ってたから

きっとあっちの部屋にあるんだろう。

化粧水と保湿を簡単に済ませ、

雫が落ちない程度に髪を拭いてから

皆がいる部屋に戻った。

「あのー、ドライヤーってあります？」

って、まだノート見てるじゃん。

「あ、Aや 」

赤木さんの声に皆が振り向いた。

「おまっ…なんでそんなに髪濡れとん！」

此奴人の話聞いてないの？

「宮侑うるさい、

ドライヤー取りに来たんだって」

「Aってそんな髪長かったん、？」

驚いている治に私は頷く

「いつもは結んでるからね」

「A、こっち来ぃ」

かと思えば、

ドライヤーを持った北さんに手招きされた。

「あ、はい」

何かも分からず言われたまま椅子に座ると

ドライヤーの音が聞こえ風が当たる。

「…北さん？」

「何や？」

「私自分で乾かせますよ」

「スポドリ作りも皿洗いも洗濯も

全部一人でやったんや、手は大事にせなあかん」

「いや、大事にせなあかんのは

北さんの手の方ですよね！？」

「Aがナチュラルな関西弁使うとる」

「赤木さんそこじゃないです、

助けて下さい」

「信介は１回決めたら最後までやんねん」

「大耳さん、諦めた表情辞めて下さい」

「俺がしたいからええねん」

北さんそれイケメン台詞にランクイン

してる奴です。

でも北さんだから不快感とか全然なくて

むしろふわふわ気持ちいんだよね 。

「あの、」

「今度は何や？」

丁寧に私の髪を乾かす先輩に一言。

「私のお兄ちゃんですか？」

瞬間笑いが巻き起こる。

当の本人は髪を乾かす手を一瞬止めた。

え、私そんな変なこと言った！？

「あ、あのすみませ」

「それはそれでええかもなぁ」

「「「「え」」」」

その場の皆が固まった瞬間だった。

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