大嫌いでした ［宮侑］

# 秘密のノート ページ35

「なぁ、見せてやぁ」

「なんでそんな興味表すの？！」

180 × 4 に勝てるとでも？

「北さん、助けて下さい

虐められてます！」

練習中に私用を持ち出すのは本当に

嫌だったのだが、今回だけ許して欲しい。

「どしたん？」

「この人達に脅されてます」

「脅してへんわ！」

「見せてくれてもいいじゃん？」

まぁ、この二人はいつもの事として。

「今回は治と銀もです」

「「嘘やろ…」」

「お前ら言いたいことは分かるよな？」

「「「「すんませんした」」」」

「何やこれ」

「あ、ちょ、尾白さん！？」

悪気がない尾白さんにひょいっと

ノートを取られた。

パラパラとめくられて私は崩れ落ちる。

「北、ちょっとこっち来てみ」

「呼ばないで下さい！！」

「何や」

「来ないで下さい！！」

私の願いも届かず、北さん含む２年達にも

ノートが見られてしまった。

…何も、ノートに書いていたのは

今、この時間のことだけじゃない。

稲荷崎の体育館で、放課後見ていた時も

記録を付け続けていたのだ。

「成程な、道理で…」

「赤さんどうされたんです？」

辞めて、赤木さん勘が働く人なんだからさ…

「いや、Aがナンパされた時、

最後に 、うちの選手みたいに性格も

“プレーも”格好良く…って言うとったやろ？

侑達の話だとAは俺らの放課後練

見に来たことないって事やったからなんか

引っかかってん。こっそり見てたんやな」

「…もう私帰っていいですか？」

「駄目でしょ」

角名が即答する。

元はと言えばお前のせいだからな！？

「お前、見とったんかい…」

「あー！もううるさいな！」

「わざわざ色分けまで丁寧にされとるし

何より正確や。よう当たっとる」

そんな真顔で賞賛されても …

「北さんいい加減返して下さい！」

「ああ、すまん。また後で見せてくれるか？」

「…ちょっとだけですよ」

「助かるわ。ほんなら練習始めんで」

「「はい！！」」

…いや違うのよ。

北さんの珍しいお願いに流されたけど

見せたくないんだよ！

そう思いながらも、それ以降の練習で

ノートに走るペンが止まることは無かった。

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