大嫌いでした ［宮侑］

# 狐制覇 ページ28

「失礼しました。天音Aです。

あ、呼び方はAで結構です」

「尾白アランや。宜しゅう」

「尾白さんでいいですか」

「ええよ」

「駄目や！俺らのアラン君とらんといて」

こっちが楽しく話してたって言うのに

此奴…

「話入ってくんなアホが」

「オッホホ w

相変わらず辛辣だねA」

「せやなぁ、なんせ侑相手やし。

あ、俺は赤木路成や。」

「赤木さんですね、お宅の後輩さん達には

手を焼いてます」

にこやかにそう言うと、北さんの視線が

私たちから他の２年に移ったのが分かった。

「どういう事や？」

「北さんちゃうんです！！

おい天音朝から何言うてんねん！」

「A、俺らを虐めないで」

「北さん、治と銀は悪くないです」

「ほうか」

「北さん、目が笑ってないです！！

ほんまに何もしてないんです！」

宮侑が焦ってやんの。

静かに笑っていると、また声が上から

降ってきた。

「大耳練や。宜しゅう」

「大耳さん宜しくお願いします！」

……私、稲荷崎メンバー全員

制覇したんじゃない？

「Aー」

「んー？」

「腹減った」

「ポッキーならあるけど」

「ええん？」

「どーぞ」

治は、北さんに怒られてる自分の双子を

気にしない素振りで私にお菓子をねだってきた。

いいんだけどね、全然。

「Aって変わっとるよな」

「銀、褒め言葉ありがとう」

「そろそろあれ止めんでええの？」

赤木さんが指さした方向には、

正座した侑も角名。

「朝から面白いもの見れた」

「可哀想やから助けたって」

「…尾白さんが言うなら」

もう少し見ときたかったが、今回は

先輩方に免じて許してやろう。

「北さん」

「お、Aか。挨拶は終わったか？」

「はい。もうそろそろ教室向かいません？」

「せやな。」

てことで、間接的に解放してやった。

「天音さんありがとうは？」

「はぁ！？元はと言えばお前が」

「北さん、宮が」

「天音さんほんまに感謝しとります」

「よろしい」

ということで皆で体育館を出る。

「Aって何者なん」

大耳さんが呟いたのを私は拾う。

「ただの宮侑が嫌いな人です」

瞬間皆が一斉に吹き出した。

「侑、何やらかしたんや」

赤木さんが呆れ半分で聞く。

「俺なんもしてへんですし！」

北さんの目を伺いながら、いそいそと

否定する宮。

「さ、今日も１日楽しく過ごしますか！」

「「Aには誰も勝てんわ 。」」

銀と北さんがハモった瞬間だった。

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