検索窓
今日:8 hit、昨日:95 hit、合計:68,307 hit

# 空気が冷える ページ14

それから、暫くは宮侑も治も角名も

声を掛けてくれていたが、やがて

諦めたようで何も言わなくなった。

私には、宮侑にファーストキスを奪われる前の

静かで落ち着いた暮らしが戻ってきた。

「A」

「はい、なんでしょうか」

「…あんまり一人で抱え込むもんと

ちゃうで」

昼休み、図書委員の仕事をしていると、

そう言われた。

「なんの事ですか」

「言わんでも分かるやろ」

即返されて、言葉につまる。

「……なんの事でしょう」

「侑。」

一言こぼされた名前。

「宮が…なんですか」

「侑だけやない。治も角名もや」

返却された本を元の場所に戻しながら

目を合わせずに話続ける北さん。

「Aが俺によそよそしくなった時と

彼奴らが元気無くした時期が重なってんねん」

なんかあるとしか思えへん。

そう言って彼は、私の目を一瞬だけじっと

見つめた。

「…嫌だなー(笑)

私が北さんに冷たくするわけないじゃな」

「作り笑顔のAは好きやない」

刀で一刀両断されるように、

私の心に真っ当から入ってきた北さん。

「……無理に言えとは言わん。

侑達が元気ないんも、

Aが関係してるんやろうけど

やからって責任は感じんでええ。」

「…私に何を求めてるんですか」

話が聞きたかったのではないの?

そう思っていると、彼は最後の1冊を

しまって私の頭に手を置いた。

「ひとりで抱え込むんを辞める事、やな」

ほな、先に戻ってんで。

そう言って、私を置いて図書館を出た先輩。

一人で抱え込むな … か。

本当、面倒見がいい人だよね。

でも、北さんに相談する訳には行かない。

宮侑にも、治達にも。

これは、私が我慢すれば丸く収まる話なのだから。

私は、ふっと息を吐いた。

今日は、少し風が強い日だ。

# 私嫌いの神様→←# 答えのない問い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
217人がお気に入り
設定タグ:稲荷崎 , 宮侑 , ハイキュー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

翠恋依(プロフ) - 紗雪さん» 初めまして、こんにちは!そう言って頂き、嬉しさでいっぱいです。いい曲ですもんね、(笑)今後とも宜しく御願い致します!! (2月25日 17時) (レス) id: 3e15d03f64 (このIDを非表示/違反報告)
紗雪 - こんにちは!もう侑がカッコ良すぎてヤバイです!!そしてユイカさんの『好きだから』って曲私も大好きです!! (2月24日 22時) (レス) @page42 id: 2d0dd09cc8 (このIDを非表示/違反報告)
翠恋依(プロフ) - 稲荷寿司さん» 再びコメントありがとう御座います!北さんの性格上、しっかりしてる子にはそれ相応の対応かなと書いていたらイケメンになりました、元の性格が良すぎて(( 内容最近少し不安だったのでそう言って頂けて安心致しました…!こちらこそ、御愛読感謝で御座います!! (2月24日 21時) (レス) @page41 id: 3e15d03f64 (このIDを非表示/違反報告)
稲荷寿司 - うおぉぉぉ!!北さんが!!イケメンすぎます!!お話のテンポも良くて読みやすくもう何周もしてます!この作品産んでくださりまじでありがとうございます…(拝) (2月24日 19時) (レス) @page40 id: 4a29f8a2b6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 翠恋依さん» やっぱり天才です!! (2月24日 16時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翠恋依 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/d21db535ba2/  
作成日時:2024年2月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。