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1ヶ月後に控えた公演のリハーサルの後、自主練習を終えていつも通り帰路につく
重い荷物を背負い直して、玄関の扉を開けようとすると、後ろから大家さんに声をかけられる
日本から郵便が届いたとのことで、直接渡しに来てくれたらしい
お礼を言うと、次の公演も頑張ってねと声をかけてくれる大家さんのマダム
封筒を受け取り、中身はなんだろうと思いながら部屋に入る
差出人は日本の出版社になっていて、開けてみると、雑誌が入っていた
前回帰国した際に、アンバサダーを務めるブランドのキャンペーンで撮影した写真が掲載されている雑誌
出版社の担当の方が送ってくださったらしい
家事を済ませて、シャワーを浴び、軽く夕食をとりながらパラパラと雑誌をめくる
雑誌の撮影は定期的にしているけれど、何度見ても自分が誌面にいるのは慣れないし、なんとなくソワソワしてしまう
自分の載っているページを適当に飛ばし、他のページを流し見していると
「あ、、、」
見覚えのある顔を見つけて、捲ったページを数枚分戻す
特集として掲載されていたのは、三代目J Soul Brothersの皆さんで、もちろん今市さんもいる
あのイベントから数ヶ月が経っているが、あの視線の熱さを今でも思い出すことができる
2人の視線が合わさった時の、こう、なんとも言葉では表せないような熱さ
電流が走ったような、バチっという音がしそうなほどの衝撃
忘れることができない
でも、だからって何があるわけでもない
知ってるのは、名前と彼が歌手であるということだけ
接点といえばブランドの同じイベントやショーに呼ばれることくらいだろう
次、会えるとしたらどこかな
そんなことを考えながら雑誌を閉じて本棚にしまった
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作者名:はるまき | 作成日時:2024年1月19日 17時