彼女のこと ーside Rー ページ30
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「隆二さんどうしたの、ため息ばっかりついて」
声をかけられて、ぼんやりとしながら岩ちゃんの顔を見る
今朝も早くから仕事だというのに、なんという爽やかさ
「ため息ついてた?ごめん、考え事してた」
「いや、謝らなくてもいいんだけどさ」
「隆二、昨日イベントだったんだよね?どうだった?」
妙に鋭い臣がスマホを見ながら問いかけてくる
「イベント、、、」
さっきから頭を占めているのは昨日のイベントのこと
とりわけ、あの人のこと
一瞬すれ違っただけの、名前も知らないあの人
誰だったんだろう
女優さん?ではなさそうだし
モデルさん?ともまた雰囲気が違うような、、、
急に思い立ってスマホを取り出すと、検索画面を開いた
イベントのことが早速記事になっていて、参加者一人一人の写真を確認しながら、ゆっくりと画面をスクロールしていく
「、、、あ」
偶然にも俺の写真のすぐ下
ブラックドレス姿で、ゆったりと微笑む彼女の名前は
「早乙女A、、、」
すぐにその名前を検索してみると、プロフィールを載せているサイトを見つけ、開いてみる
「バレエ団、、、」
プロフィールとともに現れたのは、彼女が舞台で踊っている写真の数々
間違いない
「バレリーナだったんだ、、、」
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作者名:はるまき | 作成日時:2024年1月19日 17時