chemistry (ページ3)

今日:31 hit、昨日:63 hit、合計:9,829 hit

・ページ3

.

アンバサダーを務めるブランドのイベントに参加したのは1ヶ月前

今回の衣装は胸元のあいたブラックのミニドレスに、
かっちりとしたジャケット、それとロングブーツを合わせたオールブラックのスタイル

そこに新作ハードウェアコレクションのネックレスを添える

フォーマルな装いに、自然と背筋が伸びる思いで会場の中に入る

一通り取材を終え、会場内を見渡しながら写真撮影の順番が来るのを待っていた

その時

前からやってくる男性に目が釘付けになる

純白のスーツにブラックシャツ、ウェーブした長めの髪は軽く括られていて、、、

周りを眺めながらゆったりと歩いてくると、
ふと彼の視線が私の足元に向けられた

視線がゆっくりと上がり私の顔に向かってくる

すれ違う瞬間、2人の視線が交差する
　

彼の目が一瞬大きく見開かれ、お互いの視線を探り合う

長い時間が経ったように感じるが、実際は何秒間の出来事であったのだろう

音が消えたように思えた空間で、スタッフが私の名前を呼ぶ声が聞こえる

きっと撮影の順番が来たのだろう

ハッと我に帰って曖昧な返事を返すと、喉がつっかえ、無意識に息を止めていたことに気付く

ヨロヨロと歩き出し、呼ばれた方向に向かいながら、
もう一度振り返ると、彼は変わらずそこにいてこちらをじっと見つめている

その視線に後ろ髪を引かれながらも、なんとか歩みを進める

撮影スペースに着くといくつものカメラが向けられ、眩いばかりのフラッシュがたかれる

そのフラッシュの明るさに目が眩みながらも
さっき彼と目を合わせたときの視線の熱さを思い出さずにはいられなかった

.