九章 決戦前夜�� ページ9
エリスはユリアのデータを取り終わると、次のメンバーのいる場所に向かった。仲間を探して回ると、野生のまがれと戦っていたイルとレイジを見つけ、すぐさまデータの測定を始めた。そして二人のデータを取り終えると、またもう一人の仲間を探し始めた。
(残りは……あの人ですね。一体どこにいるのでしょうか)
「おーい!!エリス〜!!そんなところで何してんだ〜？」
遠くの方で声をかけられ、振り返るとそこには茶髪の少年がいた。
「キラさん。そんなところにいたんですか」
「おう！さっきまでまがれと遊んでたんだ!!」
彼の名前はキラ。彼はヒガンの中で最年少であり、唯一まがれを使役することができる。
「それよりなんでエリスがこんなところにいるんた？」
「皆さんのデータを取っているのです。残りはあなただけなので、今すぐこっちに来てください」
「へぇ〜!!そうなんだな！ちょっと待ってな!!すぐにそっちに行くから！」
キラは光のような速さでエリスの元に来た。
「ではデータを取りますので、じっとしててください」
「おう！じっとしてる！」
キラはエリスの言う通りに微動だにしていなかった。
「……取り終えました。お疲れ様でした」
「なあなあ！オレの力どうなってた？」
「データによる能力の方は正常でした。攻撃力も少し上がっていますね」
「へへっ！やったぜ！これも修行の成果だな!!」
「では私はデータをまとめて、マスターに報告してきます。これで失礼します」
「えっ？もう行っちまうのか？」
「今は時間がないのです。油を売っている場合でありません。早く対策を練らないともしかしたら、異能力者たちに負けてしまうかもしれないので」
「そんなことないって！オレもみんなも強いやつばっかりだし！あんな奴らに負けるはずがないぜ！」
「たしかに私は皆さんの強さは信頼しています。でも油断は禁物です。もしかしたら、異能力者たちがかなり強くなっている可能性もあります」
「むぅ……相変わらずエリスは心配性だな。そんなに心配する必要ないのに」
「……どうやらあなたとは意見が合わないようですね。まだあなたはヒガンに入って間もない……あまり自分の力を過信しすぎないようにお願いします。では私はこれで失礼します」
エリスはそう言うとぺこりとお辞儀をし、その場から立ち去った。
「ふぅーんだ!!お前なんかに心配されるほど、オレは弱くねぇよ!!次の戦いでそれを証明してやる!!」
次回に続く
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作者名：ムラサ | 作成日時：2020年5月15日 17時
