十一章 形勢逆転�� ページ26
「それからボスは妹の難病を治すための高難易度の手術を見事に成功した。その後俺はヒガンに入り、何人ものの人を殺してきた。どうだ？馬鹿馬鹿しい話だろ？笑いたきゃ笑え」
「……君の気持ち少しわかるかも」
「は？」
「俺も大切な人や守りたい人がいたら、そうするかもしれない。でも君がそのボスの条件をのまなかったら、今頃妹さんはどうなっていたか……想像がつかないね」
「……でも妹はこんなことをしている兄を見てもなんて言うんだろうな……失望されるか？嫌われるか？もしかしたら絶縁されるかもしれない……もうあいつに顔向けできねぇよ……」
「でも君は妹さんのために自分の身を犠牲にしながらも今までやってきたんでしょ？たしかに暗殺集団なんて犯罪を犯している集団に過ぎないけど、君は妹さんの命を救ったんだよ？それだけでもすごいことだと思うよ。人生はいくらでもやり直せる。今は自分が犯してしまったことをちゃんと反省してから、妹さんに会いに行けばいいんじゃないかな」
「……まさか敵であるお前に助言されるなんてな」
「そんなのお互い様だよ。俺もさっき君が言ってくれた言葉のおかげでケジメがついたし」
「ふん。そうかよ。なぁ泰斗」
「なんだい？」
「最後にケリをつけようぜ。相手の攻撃を受けたやつが負けだ。手加減はなしだぞ？」
「……わかった。俺も最後まで力を振り絞って君に勝つよ」
泰斗はその場から立ち上がり、槍を構えた。
「覚悟はいいな？」
「そんなのもうできてるよ」
二人は各々の武器を構え、戦闘態勢に入った。そして二人は相手に向かって、全速力で走りすれ違った瞬間、武器を一振り振った。
「……」
「……お前の勝ちだ」
ー勝者 椋露木泰斗
ー傲慢の間
「ああああああああぁぁぁ!!クソがクソがぁ!!」
メアリーは罵詈雑言を叫びながら、銃を乱射していた。銃弾が切れても素早く補給し、一ミリも攻撃の隙を見せなかった。
(これはちょっとまずいなぁ〜このままじゃいずれここも撃たれるやろうし……どないしたもんか……)
もみじは今大木の陰に隠れていた。メアリーの乱射のせいでなかなか動けずにいた。
(……やっぱやるしかないか。でも初めてやる戦法やからうまくいくかどうかわからんけど、一か八かやな……)
もみじは覚悟を決め、能力で光の玉を生み出す。そして玉を木陰の外に投げ出した。光の玉は銃弾に命中し、その瞬間強い光が放出された。
次回に続く
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作者名：ムラサ | 作成日時：2020年5月15日 17時
