十章 決戦の刻�� ページ19
ー夢花の間
「うわっと?!今避けてなかったら、確実に怪我してた!!」
「何を言ってますの？この私が貴女を無傷で帰すとでも？せめて傷一つぐらいはつけさせてもらいますわ！」
ユリアは日傘に扮した銃を連射した。未果は千里眼を駆使しながら、銃弾を避けていたがそろそろ限界が近づいてきた。
(このままだと能力の使い過ぎで、私の目がやられちゃう……なにか……いい方法を……)
「よそ見なんて随分余裕があるのですね。なら貴女にこの花をお送り致しますわ」
ユリアはそう言うと右腕に抱えていた籠から一つの小瓶を取り出し、未果に嗅がせた。
「っ?!なに!?」
未果は思わずその小瓶から漂う匂いを嗅いでしまった。
「それは私特製の香水ですわ。試しに作ってみたのですが……どうでしょうか？」
「え、えっと……甘い香りがしてすごくふんわりしてたけど、少し苦い香りもしたけど……」
「まあそうなのですか。では予定通りですわね」
「え」
どういうことだと未果はユリアにそう問いかけようとしたが、急に意識が飛び、その場から倒れてしまった。
「この香水には体を痺れさせ、脳を一時的に停止させる効果があるのですわ。私は力がないので、こうして香水や薬を使って意識を失わせてから人を殺めているのですのよ？……って言っても聞いていないですけど」
ー勝者 ユリア
ー感情の間
「ほらほらぁ！そんなんじゃ物足りないよ〜??どんどんいっくよー！☆」
アルムは床に溜まっている水を魔法で吸い取り、大きい水玉にして、あねに向けて投げた。あねはギリギリのところで回避した。
「な、なんで……私の魔法が効かないの……？」
「えっへへ〜♪君はとてもいい能力を持っているよねっ！でも残念だったね〜君の能力については既に調査済みなんだ！☆魔法を使う能力なんて、大胆な能力だと思ってたけど、私の能力とは相性はサイアクだけどね！」
(あの子の能力……たぶん物質を変換する能力だと思う。氷を放っても水にされ、火を放ってもすぐに消されちゃう……確かに相性は最悪……どうしよう……)
「あねちゃーんどうやら悩んでるみたいだね〜??それもそうだよね〜☆今の状況を考えると私の方が有利だもんね〜大丈夫だって！殺しはしないよ！ただ……気絶ぐらいはさせてもらうよ〜??」
アルムはそう言うと、軽やかなスキップをしながらあねに近づいた。あねは恐怖のあまり尻もちをついていた。
「それじゃあおやすみなさい☆」
ー勝者 アルム
次回に続く
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作者名：ムラサ | 作成日時：2020年5月15日 17時
