イレギュラー (ページ6)

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一章転校生③ ページ6

「な、那珂川くん……君は一体……何者なの……？」

「今はお前に構っている暇などない。」

那珂川くんは拳銃を制服のポケットにしまい、僕を素通りして襲われた女性の元に歩み寄った。

「大丈夫ですか？お怪我はありませんか？」

「あ、はい……!!あの……助けて頂きありがとうございます……!!」

「ここは危険なので、早くご自宅の方へ帰ってください。またいつあの化け物に襲われるかわかりませんから」

「はい……!!わかりました……!!本当に助けて頂きありがとうございます……!!このご恩は一生忘れません……!!!」

女性はぺこりとお辞儀をすると、この場から立ち去った。

「……あのさ……那珂川くんって一体……」

パシン!!

「……え？」

頬がじんじんと痛い。那珂川くんが僕の頬に平手打ちをしたのだ。

「……なぜお前がこんなところにいる？」

「そ、それは……」

「あの女性を助けようとした。か？だが、お前はあの化け物に怯えて、襲われている姿をただ傍観していただけだっただろう？もし俺が一足遅かったら、お前のせいであの女性は異形界に連れ去られたかもしれなかったんだぞ!?お前のような何もできない弱者が綺麗事を軽々しく言うな!!」

「……ご、ごめん」

「……これ以上俺に構うな。わかったか？」

「う、うん……」

「……じゃあな。」

那珂川くんはそう言うとこの場から立ち去っていった。僕は自分の惨めさを感じながら、家へと帰っていった。

一方その頃……Aと怜樹がいた数メートル離れた付近では
「先輩、なんで私たちがあの子の監視をしないといけないんですか？」

狐の面をつけている少女蒼鳥紫音は双眼鏡で怜樹たちを監視をしていた。

「それは神祇からの命令なんだから、仕方ないことだよ～」

黄色の髪で高身長な少年椋露木泰斗は欠伸を噛み殺しながら、そう言った。

「それはそうなんですけど……私監視なんかよりまがれ退治したいですよ……もうこの数日ずっとしてないですもん……このままじゃうちの班がほかの班と実績負けちゃいますよ？」

「まあまあ。紫音ちゃんの気持ちはわからなくもないけどね。もう少しの辛抱だから頑張ろ？ね？」

泰斗はそう言うと紫音の頭にぽんぽんした。

「ちょ?!なんですか!!?急に!!」

「なにって。慰めようとしただけだけど？」

「もう!!そういうのはやめてって、この前言いましたよね!?もう二度とやらないでくださいね！」

「う、うん……ごめんね」

「まったく……もう……」

次回に続く