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「それに俺は高校の頃だけじゃなくて、今のAも好きなんだよ。だから」


研磨くんはそこで区切り、私のことを見つめる。そして優しく笑って、唇を動かした。


「俺のことを好きだって言ってくれない?」


全てを見抜いているとでもいうような視線に、目が離せなくなる。

きっと研磨くんは私が知らない私のことすら分かっているんだろうな。

もしかしたら、彼が告白をしてきた時もすでに私がこの答えを出すことを知っていたのかもしれない。

そう思うと自然の自分の気持ちを肯定できるような気がする。


「私、研磨くんのことが好きです」


こぼれ落ちるように発せられた言葉に、研磨くんはふわりと微笑みを浮かべていた。そして私に手を伸ばす。

指が絡まり、呼吸する音が近くなる。


「よかった…やっと、Aに近づけた」


「もともと近かったよ?」


「気持ち的な話…ねぇ、キスしていい?」


「え!?」


思った以上に驚いてしまい、研磨くんはくすくすと笑っている。

そして私の輪郭を撫でるように触れ、唇を親指でなぞった。その動きに固まってしまう。

心臓の音が早まっていて、キャパオーバーだ。


「ふふ、かわいい」


「や、やめてよ」


「いやだ」


ものすごく愉快そうに彼は顔を近づけてくる。

まつげ長いなぁ、というか本当に綺麗な顔をしている。思わず意識がそちらに向いてしまう。


「A」


「あ、な…に」


その日、キスって甘いんだなって学んでそれがしばらく忘れられなかった。

◯閉幕→←◯37



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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時

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