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とにかく部屋の中に入ってもらい、冷蔵庫からお茶を取り出し机に並べる。

沈黙が流れて、おずおずと研磨くんの方を見る。彼は感情の読めない表情をしていて、この後何を話せばいいのか分からなくなる。


「あ、あの…研磨くん。私、別に研磨くんのことを疑ってないよ」


「嘘はつかなくていいよ、初めは疑っても仕方ないし」


確かに少し疑っていた。それすら見抜いてしまうとは、やはり研磨くんの観察眼は侮れない。

それから、研磨くんは具体的に何があったのか話してくれた。

配信者になる前に付き合っていた彼女を家に入れたは良いものの、復縁してくれとうるさかった。断っているのに全くと言って良いほど言うことを聞いてくれない。

だから強めに断ったのだが、彼女の仲間が家に入れるところを写真に撮っていたらしい。


「写真をメディアに売った…脅しってこと?」


「そうなるかな。一応そっちの方は法的に対処することにしたから、問題はないよ。家がバレてたのは予想外だったけど」


もしかしたらストーカーとして、KODZUKENの姿を見つけたら後を追っていたのかもしれない。

彼はそこら辺も聞いていくらしい。


「でも、研磨くんに怪我がなくて良かったよ。疑いも晴れたみたいだし」


心配していった言葉に、研磨くんはふわりと笑みを浮かべる。何は笑われるようなことを言っただろうか。


「別にバカにしてるわけじゃなくて、心配してくれるAが好きだなって」


「は、す、好き…ですか」


「はい、好きです」


そうだった、今はその話をしないといけないんだった。

研磨くんにドキドキさせられている場合じゃなくて、私もちゃんと言わないと。拳を握りしめ、まっすぐ研磨くんを見つめる。


「私、研磨くんに言わないといけないことがあるの」


「うん、何?」


「あのね、私…研磨くんが思ってるような人間じゃないんだよ」


私は高校の頃、1人でいるのが好きなんじゃなくて周りとは違うって一線をおいてたんだ。だから、本当は誰かと一緒にいたかった。

勉強を頑張っていたのは周りとの違いを明確にするためだったし、志望校に受かるため。


「そんな私を好きだったなんて、あんまり信じられなくて」


「そう?俺からしてみれば、Aを好きになる理由は沢山あったと思うけど」


彼はそう言い切った。

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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時

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