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とりあえず指示された場所に向かい座ると、研磨くんはテレビをつけてゲームを起動した。そしてコントローラを私の方に向ける。


「私、逃げるのとか苦手だよ」


「いいよ、偶には他のゲームしてるAが見たいし」


「んー、やってみるね」


それから私は何度もゲームオーバーになり、脅かし要素が来るたびに肩を揺らすので、横で研磨くんがくすくす笑っていた。



結局、色々なゲームをして気が付けば15時。適当に出前を頼んで2人で遅いお昼を食べる。食べ終わると、研磨くんは棚からゲームを探していた。


「A、この後は何する?」


「え?うーん、流石に長居しすぎじゃない?KODZUKEN、今日は配信あるでしょ」


「まぁ、そうだけど」


なかなか家に帰してくれないなぁなんて呑気に思っていると、研磨くんは私の服の裾を掴んだ。


「おれはまだいて欲しい。なんなら、そのまま泊まって?」


「え、いや…それはダメだよ。私と君は確かに友達だけど、それ以上じゃないし。それに、研磨くんは有名人で、女性関係は気をつけないといけないでしょ」


「メイだって言えば問題ないでしょ」


「いやいや!問題しかないよ」


やっぱり、大会が終わってからの研磨くんの様子がおかしい。わざわざ家に呼んだりとか、今も引き止めようとしてる。

一体何を目的としているのかが分からない。


「友達でも泊まったりとかするでしょ。そこに性別とか関係ないと思うけど」


「え、まぁ…いや、関係あるでしょ!?」


「ふーん。つまり、Aはおれと何かあるって思ってるってこと?」


この人のこの言い方はずるい。

友達であれば問題ない、問題と思っているのは何かやましい感情があるからだ。そう彼は言っているのだ。

私たちの間には何もないけど、ここで肯定すると負けだ。このまま言いくるめられる。

否定しないといけない。だからこそ、私はこれを言わざるを得なかった。


「私は何もないと思ってる!でも…研磨くんは違うよね」


冗談で言ったその場をおさめるための言葉。その後に少しの沈黙。研磨くんは猫のような目を見開いていて驚いている。


「…否定、しないの?」


恐る恐る言えば、彼は顎に手を当てて考えているようだった。
そして一つ小さく頷いた後、薄い微笑みを浮かべる。


「なんだ、気付いてたんだ」


「え」


思考が巡らないうちに、私の視点は反転する。背中に柔らかい感触がして、ソファに倒れ込んだのだと分かった。

目の前には天井ではなくて、研磨くんが視界いっぱいに映る。


「捕まえた」

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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時

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