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「す、すごい!」
高性能なゲーミングPCに、ヘッドホン。椅子だって、ゲーミングチェアの中でもなかなか手の出せないものだった。棚には、ゲームが丁寧に飾られている。
「これが実況部屋」
「そんなに感動することじゃないよね」
研磨くんが呆れた顔をしている。しかし、一般人が入れば私と同じ反応をするだろう。
「というか、意外と私の家から近いね。車で10分くらいだった」
「いつでも来ていいよ」
「それは遠慮しとく。あ、このゲーム小学生くらいでやったことある」
棚の中を指さすと、研磨くんはそれを取り出す。随分と前のゲームなのに、保管状態がいい。
「Aってゲームしてたの?」
「小学生までは、中学からは全くやらなくなったけど」
あの頃はゲームを持っている人が強い世界だったから、輪に入るためにしていた。
ちゃんと面白かったし、しっかり楽しんだが。
「この棚だけで一日潰せそう」
「何言ってるの、手元見るんでしょ」
「そうだった!」
彼が手招きする方へ向かう。適当に椅子を持って来てくれて、ゲーミングチェアの横に座る。
「野良で潜るから」
「うん、ちゃんと見とくね」
コントローラを慣れた手つきで操る。慣れてる人はゲームが開始されるまでの時間が短い。研磨くんもそれに当てはまり、今まで私遅かったなって思う。
というか、野良の相手も上手いな。
「やっぱり上位ランク帯すごい」
「Aだってランク上がってたよね」
「そうだけど、私上位に入ってないから」
人口の多いこのゲームでは2000位以上を上位ランク帯としているが、私はそこに入れていない。
次々と敵を倒していく彼は、本当に上手い。
しばらくじっと手元を見ていると研磨くんがあっ、と言う。視線を画面に移すと、そこには2位と言う文字があった。
「お疲れ様。手元参考になったよ、ありがとう」
「負けた、やっぱり野良は連携取りにくい」
「十分取れてる方だったと思うけど」
「いや…まぁ、そうだね」
納得いっていなさそうな顔をする研磨くんに、再度お礼を言う。
「A」
「何?」
「帰ろうとしてないよね?」
「え、だって用事は終わって…」
いる、そう言おうすると研磨くんは眉間に皺を寄せてものすごく嫌そうな顔をしてきた。拗ねてる猫みたいだな。
「テレビでホラゲやるよ。ほら、こっち」
研磨くんはテレビの前にあるソファに座り、隣をポンポンと叩いた。
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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時