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あの大会からKODZUKENは忙しそうで、優勝すると色んな所から注目されるらしい。
配信はいつも通り、ただあれから一緒にゲームはしていない。
講義中にスマホの画面を眺めてしまう、横から小さな声で友人が声をかけてきた。
「A?」
「あ、ごめん。ぼーっとしてた」
「ふーん…ゲームのお友達から連絡来ないんだね」
ぎくっとする。彼女はニヤニヤしていて、図星かと言っている。
「今まで私から声かけたことないから、誘うのは違うなって」
「えー、なんで?誘えばいいじゃん」
「今誘うのは迷惑でしょ」
「そんなことないと思うけど」
やっぱり今までしていたことが急に無くなると、なんだか落ち着かない。
「色々変わったんだね」
友人はそう言った。意味がわからなくてどういうこと、と訊くと彼女は首を横に振った。
「うちが言えるのは一つ、一回声かけてみなよ。案外、相手も待ってるかもよ」
「そうかな」
研磨くんからはそんな感じしないけど。グイグイ迫られるの嫌なタイプだろうし、出来ることならそっとしておいてほしいと思ってるだろう。
「今まであっちから誘って来たなら、Aから言っても答えてくれるよ」
「それはそうかも?」
「うちが送ってあげようか?前みたいに」
「そ、それはやめて」
誰かに送ってもらうのはダメだと思う。
スマホのチャット画面を開き、ミケネコという名前を探す。最後に会話をしたのは大会が終わった後の3週間前か。
『お疲れ様。急に誘ってごめん、空いてる日にゲームしない?』
「今日って書きなよ」
「いやいや、相手も忙しいし」
「今日配信の予定なかったよ」
そういえば昨日の配信で言ってたな。明日はしないからって。
「…なるほどね、理解した。A、早く今日って打って送って。あー、もう!」
彼女はそう言って私のスマホを取る。あ、また。取り返そうとしていると、スッと友人から返ってくる。
嫌な予感がして画面を見ると、先ほどの文章が「今日」に変わって送信されていた。
そして前回と同じように恐ろしく早き既読。
『いいよ、いつもの時間に集まろう』
その文字を見て心臓を撫で下ろした。よかった、断られなかった。
すると、教授からうるさいぞと大きな声がかけられる。2人で謝る。
「ありがとう」
それほどじゃないよと返ってくる。
「うち、色々楽しみにしてるから」
その言葉の意味がわからなくて、私が首を傾げていた。
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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時