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KODZUKENの生配信が終わったあと、居ても立っても居られずボイチャをかける。
1コールも流れていない間に、はーいと言う声が聞こえた。
「A、さっきはお疲れ様」
なんて呑気な言葉に対して、私もお疲れ様と返す。そして、トーナメント戦とはどういうことなのかと訊く。
「今回はどうしても優勝したいから、Aと一緒に出たかったって言わなかった?」
「聞いてない!しかもこれ、本戦は現地に行かないといけなくなるでしょ。私にそんな移動費ないよ」
「そこは問題ない、費用は全部おれが出すし」
軽々とそんなことを言ってしまう彼に、さすが人気実況だなと思ってしまう。しかし、今はそんなことを思っている場合ではない。
「ネットにKODZUKENみたいに顔出せないよ?」
「いいよ、顔を隠してもいいし最悪ステージに立たなくてもいい。運営には上手く言っておくから」
確かに顔を隠しても活動している人もいるが、私のような無名な人間かつ女が彼と組んでいていいのだろうか。
「てか本戦まで行く気なんだね。今日は予選の2回戦までだったのに」
彼はくすくすと笑いながらそう言っていて、私はハッとした。
「いや…だって、研磨くんとならいけると思う…し」
「うん、おれもそう思う。Aとならいける、だから誘った」
彼は確信しているようで、私は反論ができない。
「というか、なんでそこまでおれと大会に出たがらないの?」
「KODZUKENの相方なんてハードル高いし」
「自信持ちなよ、Aはおれよりも上手いから」
そんなわけがない。私が全力で否定すると、研磨くんは実力のある人が観れば私を批判する人はいないと言った。
私を否定している人は実力のない人だ、とまで言い切った。
「それに、おれはAがいい。これが理由じゃだめ?」
「…それを言われたら断れないよ」
「うん、知ってる。ってことで、最後までよろしく」
簡単にそんなことを言う。この時、彼はきっと笑っていただろう。
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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時