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「おれたち、仲良くなれたと思う」


「ど、どうして?」


「お互いに似てるけど違うって思ってたんでしょ。つまり、感性的なやつは一緒ってことなんじゃない?」


まぁ、確かに彼の意見には一理ある。

結果的に見れば考えていることは同じだったが、高校生の頃はお互い話しかけなかった。私は1人話しかけようとは思っていなかったし、孤爪くんも積極的に誰かに話しかけて縁を持とうとは思わなかったのだろう。

結局同じクラスだったのは2年生の時だけで、3年生になってからは受験勉強で忙しくてそれどころじゃなかった。

それにあの頃はゲームをしていなかったし、話すにしても話題なんてあったのかと疑問に思う。

彼は私の手を取り、優しく包んでくれる。そして、優しい声色で言った。


「おれはあんまりこんなこと言うタイプじゃないけど」


孤爪くんはそうゆっくり言った。


「君に…Aになら言いたいんだ。なろうよ、あの頃なれなかった関係に」


あの頃遠くで見つめていた彼は、こんな近くに迫っていて今私に手を差し伸べている。苦い思い出が頭の中でぼやけていく。

それが信じられなくて、現実なのか分からなくて涙が溢れてくる。

私も、君に言いたかった。


「うん、なろう、研磨くん」


凄いなぁ。あの頃は辛いと思っていた記憶が、今は大切な記憶になっている。


「泣くことじゃないでしょ」


「いや…なんか、涙出てきて」


彼は全く、と言いながらも微笑みながら私の手を優しく握った。

私が泣き止んだ頃にはかなりの時間が経っていて、2人で店を出た。


「せっかくだし、今度一緒に大会出てよ」


「え!私は2人で遊ぶのが好きなんだから、周りから見られながらゲームするのは嫌だよ!」


「…定期的にずるいこと言うよね。それを言われたら、反論できない」


その言い方に私は思わず笑ってしまい、研磨くんもそれに釣られて笑っていた。

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花道時代(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます!いつも感想を書いて頂き嬉しかったです! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 食べるさん» 感想ありがとうございます!そのように思って頂けて、書いた側としては嬉しいです。読んで頂きありがとうございました! (4月22日 7時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
えま - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!! (4月21日 15時) (レス) @page41 id: c3dc1b262f (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 完結おめでとうございます。主人公の考え方や最終的な二人の関係性のあり方など、共感できるところが多く、すごく楽しめました!日々の合間にこの小説を覗くことが、個人的な楽しみでした😳素晴らしい作品を、ありがとうございました! (4月21日 11時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - カナタさん» 感想ありがとうございます!これからも、色んな作品を書いていきます! (4月18日 14時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花道時代 | 作成日時:2024年3月11日 21時

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