4 ページ4
「ただいま。」
部屋に入るけど、剛くんの返事はない。
電気が真っ暗だったから、どっかに行ったのかも、と、ぼーっとしながら待っている。
5分ぐらい待っていたら、剛くんが玄関を開ける音が聞こえた。
「おかえり、どっかいってたの?」
「なんで俺の電話に出なかったん?」
いきなりそんなことを言った剛くんは、ドカドカと私の方に近づいた。
「……あの男、誰?」
そう呟いた剛くん。
あぁ、見られてたんだ。
「浮気?何?」
ポタリ、と涙がこぼれる。
次の瞬間、剛くんが私の髪を引っ張った。
「なんで僕だけを見てくれへんの?」
腹に足が当たる。
そのクリクリした瞳から光が消えた。
どれだけそうしていただろうか。
至る所がアザだらけになっていた。
ひくり、と、嗚咽を漏らしながら泣いている。
話しかけることも出来ずに、ただそこで彼を見ていると、彼は私を少し見た。
「仕事、辞めてよ。」
それだけは嫌だ。こんな部屋にずっと居るなんて耐えられない。休日すら億劫なのに、毎日ここにいるなんて気が狂いそうになる。
「嫌だ。」
そう言うと、彼は私を睨みつけた。
「逆らう目は要らへんの。
頷いていればええねん。」
そう言って彼は私に近づく。
「消毒や。」
そう言って噛み付くようにキスをしてきた。
唇を噛まれ、血の味が口の中に入る。
彼はふふふと笑った。
「美味しいなぁ。」
そう呟くと、またキスをされる。
「ねぇ、僕は君に溺れてる。だからさ、君も僕だけに溺れてよ。麻薬に溺れるみたいに、僕だけを見てよ。」
「……」
「アザが体中に出来とる。
こんなのをあいつに見られたら、きっとお前なんて捨てられる。この一つ一つが僕のって印。」
ふふふと笑いながら私の頬を触る彼は、
とても狂っていた。
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
saya - はじめまして!だんだん引き込まれる感じでとても面白いです!剛くんの狂愛具合がなんとも好きです😹主様のペースで更新楽しみにお待ちしてます^^* (2022年9月19日 3時) (レス) @page19 id: 547c747656 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:フィオネ | 作成日時:2019年3月20日 13時