a broken love story (ページ14)

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そんな昔の彼との出会いは、今でも大切な思い出。
不思議な私と彼の関係だけど、私はそんな関係が好きだった。

剛くんだけが可笑しいように思うが、
私だって充分おかしい。
逃げ出そうなんて思わない。この関係が心地好い。

ちょっと可笑しい彼は、きっと私以外に支えられる人はいない。それにたとえ支えられなかったとしても、そしたら2人で崩れていける。

「A、明日デート行こっか。」
「デート？何処に？」
「海や。釣り行きたいねん。」
「やった！楽しみだ。」

ふと顔を見合わせる。
鼻と鼻が合わさる距離まで近づくと、彼は私の頭を優しく撫でた。

「久しぶりに見たわ。その笑顔。
可愛ええな。」
「剛くんだって。」

褒め合うと、照れてきて目を逸らす。
それが可笑しくって二人で笑った。

「剛くん。」
「なぁに？」

剛くんに抱きしめられる。

「ボニーとクライド、なれるといいね。」

いつの日か聞いたボニーとクライドの話は、
私達にとっては希望のような話だった。

「逃げて堕ちていきたいなぁ。
僕らの居場所は、きっと地獄しか無いから。」
「でも、そんなことを思うなんてかなり夢見ているのよね。」
「でも、僕らなら出来るで。
家族だって友達だって帰る場所だって、もうとっくに無いやろ？」

ケラケラケラ、と笑う彼は酷く悲しそうで、
彼はきっと私よりも悲しい闇を持っている。そんな闇を優しく溶かしてあげたい……と、彼の腕に力を入れる。