乗っ取られて全てを失った不幸な審神者の話

11話 ページ13

宗三や小夜の信用を失い、江雪も失った

江雪、何を考えて、私が折ったなんて言ったの…？

こんな姿見られたら、また何かされる

そんな事を思いながらも、そんな気力も体力もなくその場で震えるしかなかった

そんな時、近くの襖が開き、

燭「主っ？！どうしたんだい？！そんな体で？！」

そんな姿っていうのは、さっき宗三や小夜に受けた仕打ちの仕業でびしょ濡れになった事を指してるんだろう

燭「今、助けてあげるからね！」

安心する笑顔で微笑みかけられて、緊張の糸が切れ、また気絶した

暖かい

光忠が抱き上げてくれたんだろうな

光忠には迷惑かけちゃうな

嗚呼、このままずっと…









貴「…」

次「あ、主…！やっと起きたぁぁぁ！」

貴「じ、次郎っ？！」

次郎は優しくしてるっぽいんだけど、結構な力で抱きつかれて、骨が軋む音がする気がするよ

貴「何で…私、次郎の部屋に…？」

次「燭台切がびしょ濡れのあんたをここに運んで来たんだよ！
今歌仙とあったい物作ってくれてるからね！」

貴「そっかー…」

次「所々、傷があったって聞いたんだけど、何があったんだい？」

貴「え…何もないよ…？」

次「…それなら良いんだけ…
アンタ…それどうしたの…？」

次郎の視線の先には、爪のない親指

慌てて隠すけど、もう手遅れ

次「誰にやられたんだい？！それ！」

貴「ぅ…えと…これは…」

これ以上、皆に心配されるわけにはいかない

次「まだ、血が出てる…
それをやった奴は誰だい…？」

貴「…っ」

次「言いなさい…」

貴「じ、次郎…？」

次「なーんてね！
冗談だから、そんなに怖がらないでよー
薬研の所に、包帯だけでも、貰いに行くよ
アタシもついて行ってあげるか！」

貴「…うん！ありがと！」

次「どーいたしまして！」

12話→←10話 ＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す