・ ページ7
帰り際、今日は寺辻先輩が用事で
残れないから、代わりにてっちゃんが
部室の鍵閉め係。
こういう時は、
わたしもボールの空圧を測ったり、
記録簿を書いたりして、
さりげなく待って、
2人で帰ることになってる。
「よしっ、全員帰ったし、
鍵閉めて帰ろっか♡さや♡」
優しい微笑みに、
今すぐ抱きしめてもらいたくなっちゃって、
彼に近づいた時だった。
「つっ、土田先輩いらっしゃいますか…!」
部室の外から女の子の声。
てっちゃんは「待っててね」とだけ言って、
外へ出て行く。
聞き耳立てなくても、聞こえてくる、
「好きです」の告白。
もちろんてっちゃんは断ってくれてるけど…。
……こんなの日常茶飯事。
……わかってるけど、わかってるけどー…。
…妬いちゃう。
しかも
こんな近くで告白の現場見ちゃったもん。
「ごめんね、おまたせ。」
てっちゃんが部室に戻ってくる。
女の子からもらったであろう、
手紙を持って。
「帰ろっか、さや。」
今までは見て見ぬ振りしてきたけど…。
「……やだ。」
今回ばかりは、身近に見ちゃったもん。
両頬をぷくーーって膨らませて、
てっちゃんに抵抗してみる。
「どうしたの、珍しいじゃん?♡
ヤキモチ妬いちゃって。」
そっぽむいてると、
てっちゃんに後ろから抱きしめられる。
50人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水果子 | 作成日時:2018年9月30日 22時