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お祭りの会場は、浴衣や私服の人だらけで
制服のまま来たわたし達は
すこし浮いているように感じた。
「さや、ほら、はぐれんように繋いどき。」
スッと伸ばされた手を握ると、
健二郎はニコッと笑って、
「さやの手は小さいなぁ。」
ってぎゅっと握り返される。
「〜〜〜っ///」
照れるわたしとは反対に、
いつも通りのように過ごす健二郎。
あくまで友達、なんだろうな…。
健二郎の余裕ある姿に、
少しずつ自信がなくなっていく。
「りんご飴、売っとるやん。
………さや?」
いつのまにか、涙が出て止まらなくなってた。
"健二郎の彼女"は、
こんな風にしてもらえるんだって思ったら、
とても羨ましくて、
わたしもなりたいって思っちゃった。
でもきっと、
わたし達はこのまま、友達同士なんだ。
「りんご飴買うたるから、な?
ちょっとそこで待っとき。」
そう言って、わたしを置いて、
人混みの中に入っていく健二郎。
…健二郎とこの関係を崩したくない
って思いと、
健二郎の彼女になりたい
って思いが錯綜して余計涙が止まらない。
啓「あれ、さやじゃん。」
人混みから少し離れたところで
健二郎を待ってると、
サッカー部の先輩、啓司さんに
話しかけられた。
啓「どうしたー?泣いてんじゃん。」
雑に袖でわたしの涙を拭う啓司さん。
啓「ひとりで来てんの?俺らと一緒に回…」
「いや、2人で来てますんで。」
啓司さんがわたしの頭をポンポンする手を、
健二郎が握って止めた。
啓「なんだよ〜、さや。
彼氏と喧嘩?」
…彼氏じゃない……っ
「違いますっ啓司さ…」
「そうです、俺の彼女なんで、
手ぇ出さんといてもらえますか?」
…健二郎…。
啓司さんは、あっそ、ってニヤッと笑うと、
先輩たちの集団とともに帰って行った。
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作者名:水果子 | 作成日時:2018年9月30日 22時