Love is all ＊３【橘ケンチ】

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バーで出会って、

ケンチさんに恋をして、

告白されて…。



ついには、

結婚するなんて、夢にも思わなかった。



あの日、ライブについて行っただけの私には、

想像もつかない展開。






「新郎、寺辻健一郎は、


新婦である、寺辻さくらを


一生愛することを誓いますか？」




「はい、誓います。」




ケンチさんの優しい微笑みに泣きそうになる。




「新婦、寺辻さくらは、


新郎である寺辻健一郎を、


一生愛することを誓いますか？」




「……っはい、

一生愛することを、誓います。」


ケンチさんが、

愛される幸せを

わたしから感じてくれた。



私は、家族以外に、

こんなにも愛せる人がいるってことを

彼から教えてもらった。



ケンチさんの目が、少しだけ、潤んで見える。




「それでは、誓いのキスを。」



ケンチさんの手がわたしの顎に触れる。



「牛さんはいないよ」


わたし達だけにしか聞こえない、

その小さな呟きに、

少しだけ笑って、唇を重ねる瞬間





「っもぉーーーーーー！！！！」





会場に響く、子どもの声。


まるで、それは夢でみた、

子牛の声みたい。



参列席には、子どもをあやす、友人の姿。


…飽きちゃったのかな？


…でも…これって…(笑)


２人で目を合わせて笑い合った。



「…正夢だ。」


「……ね。」



笑いながら、ゆっくり唇を重ねると、

式場は大きな拍手で包まれた。

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