ケンチside ページ23
ーガチャ
出てきた彼女の顔は、
俺が想像してたどの顔でもなかった。
もこもこの部屋着をきている彼女は、
今にも泣きそうな顔をしていた。
「……来てくれた……っ」
そのまま笑うから、
両目からキラキラした涙が落ちる。
…不安、だったよね。
「ごめんね、遅れて…。
撮影が長引いちゃって…。」
「…ううん…っ、
来てくれて、嬉しい…っ」
…当たり前だよ。
この1週間、さくらの誕生日プレゼントを
何にしようかって、
ずーーーっとそんなこと考えてた。
いつもはお別れの時間だった、
土曜日の夜をこんなに楽しみに待ってたのは、
初めてだった。
「ケンチさん…っ」
ドアを閉めるとすぐに、
その小さな身体に抱きしめられる。
泣きながら俺を抱きしめ続ける彼女を見ていると、
心底、自分の不甲斐なさにイラつく。
さくらが、
"彼女"という存在に
どれほど苦しめられてるか、
わかってるつもりでいた。
でも、それに気づかないように
振舞っていた自分に嫌気がさす。
「本当に…っ、来てくれるなんて…っ」
「当たり前だよ。
さくらのこと以外、頭になかった。」
夢中で彼女を抱きしめ返して、
おでこにキスをする。
ぐしゃぐしゃに泣く彼女は、
いつもとは全然違った表情をしていた。
凛として、
"いってらっしゃい"
って俺を送り出すあの笑顔の裏に、
どれだけの不安があったんだろう。
誕生日の約束を、
あんなに喜んでいた彼女は、
本当はどう思っていたんだろう。
さくらの辛さに気づけなかった、
苦しみを気づこうとしなかった。
「ごめんね、さくら。
誕生日、おめでとう。
……好きだよ。」
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mana0703ex(プロフ) - ちょっと泣きかけちゃいましま( ; ; )笑!楽しみにしたいますね(*^^*) (2018年8月10日 0時) (レス) id: 40439fe591 (このIDを非表示/違反報告)
水果子(プロフ) - mana0703exさん» ありがとうございます( ; ; )!!!初めてコメントをもらったので、感激してます( ; ; )!!まだまだ、作品も少なく、未熟ですが、読んできゅん!としていただけたら、嬉しいです(^○^)* 応援、コメント、ありがとうございますっ(*´-`) (2018年8月9日 22時) (レス) id: 3b4df0cabc (このIDを非表示/違反報告)
mana0703ex(プロフ) - 見つけてまた一気読みしてしまいました!楽しく読めました!!( ; ; )ほかの作品も読んでみようとおもいます!応援してます(*^^*) (2018年8月9日 14時) (レス) id: 40439fe591 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水果子 | 作成日時:2018年8月2日 14時