Love is all

ケンチside ページ23

手を出してはいけない子に、


手を出してしまったって、


今さら気づいた。



彼女の純粋で綺麗な涙に、


自分自身の汚さがより際立ってみえる。



「ごめん….さくらちゃん。」




君がこんなにもちゃんと言ってくれたから、



僕も、きちんと言わないといけない、よね。





「俺、彼女いるんだ。」





突き飛ばしてもいい。


最低ってビンタしてくれてもいい。


君を弄ぼうとした最低な自分を知ってほしい。



「…彼女より、さくらちゃんの方が、


好きって気持ちが伝わってきて、


すごく嬉しくて…。


それで手出したくなった…ごめんね。」



そんな純粋な心を、


こんな俺のために使わないで。


ーぎゅっ


突然ふわりと香ったいい匂いが、


俺を包み込んでいた。



「さくらちゃん…？」


一瞬、


なにが起こったかわからなかったけど


すぐ理解できた。



さくらちゃんは、


コワレモノを優しく包み込むみたいに、


俺を抱きしめてくれていた。

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